一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

はじめての宮宗女流初段(後編)

2017-07-29 00:26:51 | 女流棋士の指導対局会

第4図以下の指し手。▲6六銀△8四馬▲4五歩△7三桂▲2四歩△同歩▲4四歩△6五桂▲同銀△4八馬(第5図)

宮宗紫野女流初段はサウスポー。さして考えることなく淡々と指す。私は他者の将棋まで見る余裕はないが、「現在いい勝負」なら、最後はアマが負ける。
局面。私は文字通りノータイムで▲6六銀と打ったが、△8四馬と引かれてみると、次に△7三桂がある。それを防いで▲7四歩としても、△7五桂がありそうだ。
どっちにしても、ここで自陣に手を入れる気力がなくて、私は▲4五歩と突っかけた。
だが△7三桂と打たれてみると、厳しくて参った。いわゆる「軽視していた」というやつだ。
私は▲2四歩△同歩と味をつけ▲4四歩だが、これも相手に歩を渡してどうだったか。
宮宗女流初段は△4八馬と、再び飛車取りに当ててきた。今度の馬も厳しい。

第5図以下の指し手。▲2七歩△7五銀▲3五歩△2六馬▲同歩△8六歩▲同歩△8七歩▲同玉△4九飛▲7九歩△8五歩▲同歩(第6図)

第5図は下手が敗勢に近い劣勢。私は力なく▲2七歩と打ったのだが、これが軟弱な手で、負けを早めた。ここはまだしも▲2八飛と引くべきだった。以下△3九馬▲2六飛△4八馬▲2八飛△3九馬…の千日手模様を気にしたのだが、これは上手が打開するから問題なかった。不利なほうが千日手を回避?しているようでは話にならない。
宮宗女流初段は△7五銀。こういう銀はOg氏にも打たれたことがあるが、実戦的な素晴らしい手だと思う。
私は▲3五歩と突くくらいしかないが、宮宗女流初段は△2六馬と、半分死んでいる飛車と交換してくれ、△8七歩▲同玉△4九飛。いややっぱりこの飛車も厳しく、私は▲7九歩としたが、これで7筋にも歩が打てなくなってしまった。
宮宗女流初段は△8五歩。この歩は先の▲2四歩で与えたものだ。私は▲同歩と取るよりないが、次の手には参った。

第6図以下の指し手。△4四飛成▲5四歩△8六歩▲8八玉△4八竜▲6八桂(第7図)

第6図で△4四飛成に参った。ここ△2九飛成なら、▲3四歩△同銀に▲4六桂でも▲3五歩でも手になりそうだったが、歩を補充しながら自陣を強化されては、下手に指す手がなくなった。
かつて芹沢博文九段は「歩切れでも、つねに一歩補充できる状態にあればいいんだ」と語っていたそうだが、本局の△8五歩▲同歩~△4四飛成などは、それを地でいっている。
再び△4八竜と潜られて、▲6八桂は泣きの一手。

第7図以下の指し手。△6九銀(投了図)
まで、92手で宮宗女流初段の勝ち。

第7図では△8七銀と思ったが、プロはそんなダサイ手は打たず、△6九銀。矢倉攻略の手筋で、これで下手は指す手がない。さすがに投了した。

感想戦。「序盤は私がうまくやったんだが…」と、私。宮宗女流初段も同意してくれたが、この場合の上手の言葉はアテにならない。負けた下手を慮ってくれるからだ。
まず宮宗女流初段は、途中図の▲6五同銀右を、そこまで無理しなくても▲5七銀で、上手は指す手が難しかったとのこと。
続いて宮宗女流初段が指摘したのが第4図での▲6六銀で、ここは▲6六金がイヤだったという。
△8四馬ならさらに▲7五銀で、これは金銀の盛り上がりが違う。
もし▲6六金に△同馬なら、▲同角△7三桂▲7四銀打△6五桂▲同銀(参考図)でどうか。参考図も上手の矢倉が固く、金銀3枚を持駒にしているから下手は容易ではないが、▲6六銀よりははるかによかった。

本譜も下手が手厚いようだが、▲6六銀と▲7七角の関係が悪く、どうも下手が芳しくない。
本譜は▲6六銀△8四馬▲4五歩と進行したが、ここでも▲7四歩がベターだったらしい。
いずれにしても、▲6六銀では▲6六金と立つ一手。これを宮宗女流初段は一目で見つけ、私は考えもしなかった。ここにプロとアマの差がある。
もっとも、▲6六銀はノータイム。下手の悪手はノータイムの指し手から出やすい。とするならば、反射的に打った▲6六銀では、数十秒でも考えるべきだったのだ。
まだほかの対局もあるので、これにて感想戦は終わり。まだ4時50分で、宮宗女流初段は2局目を申し出てくれたが、私は丁重に断り、表の空気を吸いにでた。

川口駅周辺は多くの店がある。立ち飲みコーヒーの店ぐらいあるだろうと思いきやなかなかなく、けっこう歩いて。ドトールコーヒーを見つけた。
アイスコーヒーを飲みながら、さっきの将棋を考える。転職の職種を考えるわけではないところに、私の逃避が現れている。

5時45分ごろ戻ると、すべての将棋が終わっていた。残りの3人も、全員負けたっぽかった。
これにて宮宗女流初段の指導はアガリ。現在は色紙に揮毫をしていた。宮宗先生、お疲れ様でした。
大盤ではKaz氏が、さっきの宮宗女流初段との将棋を並べていた。
「ここで△3一銀が粘りのある手で…」
Kaz氏、よく冷静に振り返れるものだと思う。私は血圧が上っちゃって、ダメである。
しばしおしゃべりした後、有志で食事に出る。表に出るとKaz氏が、
「大沢さん好みの金銀が盛り上がる将棋になったので惜しかったですね」
と言った。社団戦でKun氏にも同じことを言われたが、私の棋風がバレバレのようである。
例のインドカレーの店に行く。宮宗女流初段は新婚なので、女流棋士の離婚率の話になった。離婚した女流棋士の名前が6人ほど挙がったが、もう少しいてもいい。
現在の女流棋士がザッと70人として、約1割が離婚経験者。とすると、宮宗女流初段も離婚の可能性が1割あるということか。

いや違うのである。自宅に戻って考えたが、上の数字から、未婚女流棋士は省かなければならない。
すると分母が約40まで減った。
…2割かな。2割か…。
宮宗女流初段がそこに戻らないことを祈る。
コメント (2)
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