2021年度のフリークラス転出は、塚田泰明九段が名乗りを挙げた。
塚田九段は1981年3月、16歳で四段デビュー。いわゆる「花の55年組」のひとりだ。奨励会生活はわずか2年5ヶ月で、記録的な速さだった。
そんな塚田四段はデビュー当時から勝ちまくり、一躍時の人となった。学園生活での一部が将棋専門誌に載ったが、クラスメートに囲まれた塚田四段はキラキラと輝いていて、そのころ「男子クラス」で地底深くに沈んでいた私は、塚田四段が眩しく見えたものだ。
1986年には、「塚田スペシャル」を引っ提げ、22連勝の最高記録(当時)を樹立。
1987年は、中原誠王座から王座を奪取し、初タイトル。
1988年、A級八段に昇級昇段。
まさに順風満帆で、塚田九段の人生は薔薇色だった。
そんな塚田九段も徐々に勝てなくなり、順位戦も徐々にクラスを落としていった。
2018年度、第78期C級1組順位戦で2個目の降級点を取り、C級2組に降級。
そして2019年度、2020年度でもC級2組で降級点を続けて取り、このたびのフリークラス宣言となったものである。
今期も順位戦に参加したら降級しない自信はなく、もし降級したら2025年3月での現役引退となる公算が高い。それゆえ転出して、現役生活を5年間延ばしたということだ。
しかし……あの塚田九段がフリークラス宣言・順位戦卒業とは……。10代・20代の輝きは何だったのだろうと、時の移ろいの儚さを思うのである。
そして、小林宏七段が現役引退を表明した。桐山清澄九段、田中寅彦九段の強制引退ではなく、自発的なものだ。
小林七段は1984年8月、四段昇段。数年はパッとしなかったが、1991年の第4期竜王戦では4組で優勝し、本戦トーナメントでも勝ち進み、挑戦者決定三番勝負に進出した。結果は森下卓八段に0-2で敗れたが、その健闘は大いに称えられた。
このとき収入が増えたので、小林五段が「さあ、きょうは私がおごりますよ!」と快活にみなを誘ったくだりが、将棋マガジン「対局日誌」で紹介されている。
しかし小林七段の棋歴はここが棋士人生のピークだったようで、以降は緩やかな下降線をたどった。
2011年、小林七段は第69期順位戦C級2組で2個目の降級点を取り、フリークラスに転出した。だが、第66期に2個目の降級点を取ったときは、第68期に6勝4敗とし、1個を返上していた。なんで今回もそれを狙わなかったのだろう。
小林七段は2010年度、14連敗で年度を終えていた。連敗地獄を経験して、緊張の糸が切れてしまったのかもしれない。
それにしても、59歳での引退は早すぎる。小林七段のこと、自分の将棋が指せなくなり、現役人生に潔く見切りをつけたのだろう。好漢・小林七段に幸あれ。
塚田九段は1981年3月、16歳で四段デビュー。いわゆる「花の55年組」のひとりだ。奨励会生活はわずか2年5ヶ月で、記録的な速さだった。
そんな塚田四段はデビュー当時から勝ちまくり、一躍時の人となった。学園生活での一部が将棋専門誌に載ったが、クラスメートに囲まれた塚田四段はキラキラと輝いていて、そのころ「男子クラス」で地底深くに沈んでいた私は、塚田四段が眩しく見えたものだ。
1986年には、「塚田スペシャル」を引っ提げ、22連勝の最高記録(当時)を樹立。
1987年は、中原誠王座から王座を奪取し、初タイトル。
1988年、A級八段に昇級昇段。
まさに順風満帆で、塚田九段の人生は薔薇色だった。
そんな塚田九段も徐々に勝てなくなり、順位戦も徐々にクラスを落としていった。
2018年度、第78期C級1組順位戦で2個目の降級点を取り、C級2組に降級。
そして2019年度、2020年度でもC級2組で降級点を続けて取り、このたびのフリークラス宣言となったものである。
今期も順位戦に参加したら降級しない自信はなく、もし降級したら2025年3月での現役引退となる公算が高い。それゆえ転出して、現役生活を5年間延ばしたということだ。
しかし……あの塚田九段がフリークラス宣言・順位戦卒業とは……。10代・20代の輝きは何だったのだろうと、時の移ろいの儚さを思うのである。
そして、小林宏七段が現役引退を表明した。桐山清澄九段、田中寅彦九段の強制引退ではなく、自発的なものだ。
小林七段は1984年8月、四段昇段。数年はパッとしなかったが、1991年の第4期竜王戦では4組で優勝し、本戦トーナメントでも勝ち進み、挑戦者決定三番勝負に進出した。結果は森下卓八段に0-2で敗れたが、その健闘は大いに称えられた。
このとき収入が増えたので、小林五段が「さあ、きょうは私がおごりますよ!」と快活にみなを誘ったくだりが、将棋マガジン「対局日誌」で紹介されている。
しかし小林七段の棋歴はここが棋士人生のピークだったようで、以降は緩やかな下降線をたどった。
2011年、小林七段は第69期順位戦C級2組で2個目の降級点を取り、フリークラスに転出した。だが、第66期に2個目の降級点を取ったときは、第68期に6勝4敗とし、1個を返上していた。なんで今回もそれを狙わなかったのだろう。
小林七段は2010年度、14連敗で年度を終えていた。連敗地獄を経験して、緊張の糸が切れてしまったのかもしれない。
それにしても、59歳での引退は早すぎる。小林七段のこと、自分の将棋が指せなくなり、現役人生に潔く見切りをつけたのだろう。好漢・小林七段に幸あれ。