第74期王将戦第4局である(主催:日本将棋連盟、毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社)。ここまで藤井聡太王将の3勝で、永瀬拓矢九段は文字通り後がない。永瀬九段はとにもかくにも、指し込みを回避するのが絶対だ。
対局場は大阪府高槻市。大阪の新たな将棋の聖地で、町を挙げての将棋の取り組みは頭が下がる。
将棋は藤井王将の先手で、角換わりとなった。両者右金をまっすぐ上がって飛車を引く例の形で、指定局面まで、ノータイムですっ飛ばす。むかしは指しなれた形でも少考がまじったものだが、今の棋士は合理的だ。ただ、それがいいかどうかは分からない。
藤井王将、43手目に仕掛ける。これには△同歩が前例で5局あるが、これに永瀬九段が玉を寄ったのが新手だった。
永瀬九段の深い研究には定評があるが、ここで手を変えるという発想がすごい。前例がすべて「△同歩」なら、ここは素通りしそうなものだ。
果たして藤井王将は長考に沈んだが、ここでの変化球なら「先手が指せないとおかしい」という見解ではなかったか。
藤井王将は4筋で歩を手にし7筋を攻めるが、そこで永瀬九段の放った角が、たぶん最も指したかった手。
このマス目の角は天野宗歩のころから名角と相場が決まっていて、負けたのを見たことがない。
実際本局も「斜め屋敷の犯罪」(島田荘司)のように、角の利きがスーッと敵陣まで通り、後手有望に見える。
ただ、形勢は互角なのだろう。だがそれだと終盤力に定評がある藤井王将が有利なはずで、やっぱりこの将棋も藤井王将が勝つのかなと思った。
封じ手を挟み、藤井王将は飛銀交換の荒業に出る。アマ同士なら先手の無理攻めとなるが、何しろ攻め手が藤井王将だから、なんやかやと手を作っていくのだろう。
永瀬九段、待望の角出。受けては自陣に利かし、攻めては角切りや端の覗きを見ている。藤井王将はそれぞれの駒に120%の働きを課す。だからそのぶん勝率がいいのだが、永瀬九段のこの角はまさに120%の働きで、これは永瀬九段がイクかもしれないと思った。
永瀬九段、さらに飛車を下ろす。こうやって先手玉に嫌味を作っておくのがいいのだ。
藤井王将、4筋に歩を垂らす。これに永瀬九段が金を寄ったのがいい辛抱だった。この局面、私もいろいろ考えたのだが、私の棋力では後手玉が寄らない。
だけどそこは藤井王将のこと、私が思いもよらない攻めを紡ぐのだろう……と指し手を注目していたが、その回答は意外な銀打ちだった。
永瀬九段は丁寧に受ける。永瀬九段の本領は受けつぶしにあり、これは永瀬ペースになったと思った。
藤井王将の攻めが一息つき、永瀬九段にターンが回った。永瀬九段は鋭く迫る。
藤井王将、銀打ちの受けに、永瀬九段はお返しの銀打ちから寄せに入る。最後はあの角が王手に出て、終幕。永瀬九段の名局が誕生した。
藤井王将、2日制のタイトル戦で先手番の連勝が32連勝でストップしたらしいが、私としては、年度勝率8割がついえた事実のほうが大きい。
もっとも藤井王将は、そういった記録にはほとんど興味がないだろう。ここはつねに記録を意識していた大山康晴十五世名人とは違うところだ。
第5局は3月8日、9日、埼玉県深谷市で。
対局場は大阪府高槻市。大阪の新たな将棋の聖地で、町を挙げての将棋の取り組みは頭が下がる。
将棋は藤井王将の先手で、角換わりとなった。両者右金をまっすぐ上がって飛車を引く例の形で、指定局面まで、ノータイムですっ飛ばす。むかしは指しなれた形でも少考がまじったものだが、今の棋士は合理的だ。ただ、それがいいかどうかは分からない。
藤井王将、43手目に仕掛ける。これには△同歩が前例で5局あるが、これに永瀬九段が玉を寄ったのが新手だった。
永瀬九段の深い研究には定評があるが、ここで手を変えるという発想がすごい。前例がすべて「△同歩」なら、ここは素通りしそうなものだ。
果たして藤井王将は長考に沈んだが、ここでの変化球なら「先手が指せないとおかしい」という見解ではなかったか。
藤井王将は4筋で歩を手にし7筋を攻めるが、そこで永瀬九段の放った角が、たぶん最も指したかった手。
このマス目の角は天野宗歩のころから名角と相場が決まっていて、負けたのを見たことがない。
実際本局も「斜め屋敷の犯罪」(島田荘司)のように、角の利きがスーッと敵陣まで通り、後手有望に見える。
ただ、形勢は互角なのだろう。だがそれだと終盤力に定評がある藤井王将が有利なはずで、やっぱりこの将棋も藤井王将が勝つのかなと思った。
封じ手を挟み、藤井王将は飛銀交換の荒業に出る。アマ同士なら先手の無理攻めとなるが、何しろ攻め手が藤井王将だから、なんやかやと手を作っていくのだろう。
永瀬九段、待望の角出。受けては自陣に利かし、攻めては角切りや端の覗きを見ている。藤井王将はそれぞれの駒に120%の働きを課す。だからそのぶん勝率がいいのだが、永瀬九段のこの角はまさに120%の働きで、これは永瀬九段がイクかもしれないと思った。
永瀬九段、さらに飛車を下ろす。こうやって先手玉に嫌味を作っておくのがいいのだ。
藤井王将、4筋に歩を垂らす。これに永瀬九段が金を寄ったのがいい辛抱だった。この局面、私もいろいろ考えたのだが、私の棋力では後手玉が寄らない。
だけどそこは藤井王将のこと、私が思いもよらない攻めを紡ぐのだろう……と指し手を注目していたが、その回答は意外な銀打ちだった。
永瀬九段は丁寧に受ける。永瀬九段の本領は受けつぶしにあり、これは永瀬ペースになったと思った。
藤井王将の攻めが一息つき、永瀬九段にターンが回った。永瀬九段は鋭く迫る。
藤井王将、銀打ちの受けに、永瀬九段はお返しの銀打ちから寄せに入る。最後はあの角が王手に出て、終幕。永瀬九段の名局が誕生した。
藤井王将、2日制のタイトル戦で先手番の連勝が32連勝でストップしたらしいが、私としては、年度勝率8割がついえた事実のほうが大きい。
もっとも藤井王将は、そういった記録にはほとんど興味がないだろう。ここはつねに記録を意識していた大山康晴十五世名人とは違うところだ。
第5局は3月8日、9日、埼玉県深谷市で。
一公さんがおっしゃるように、本人はそんな記録はどうでもいいかのように、感想戦はめちゃくちゃ楽しそうにやっていました。が、私は、かなり落ち込んでます。
話は変わりますが、「法廷のドラゴン」のメイキング動画がXで流れてきて、桃子先生が主演の女優さんに将棋指導していましたね。
桃子先生、お元気そうでした。引退はしても、桃子先生に対局の聞き手をやってもらえないのかなぁ、、、と今でも願ってしまいます。
年度8割、ついえましたね。
私は今年度も行くんじゃないかと思ってたんですが、そんなに甘くはなかったですか。
ただ、そもそも年度8割が異常な数字で、これが年度負け越しなら深刻ですが、8割ですからねえ……。
仕方ないんじゃないでしょうか。
桃子先生が元気そうなのはよかったですが、なおさら現役引退の理由が謎です。
女心は分かりません。
桃子先生、本当に突然の謎の引退でしたね。女の私にも、その気持ちは分かりません。
服部先生の話題ですが、急に負け出して、藤井先生には勝ったのにー。
朝日杯の時、勇気先生が服部先生に「藤井さんに勝ったのは、5〜6勝分の価値がある」っておっしゃってましたが、藤井ファンからしてみると、「何もあそこで勝たなくても〜」とエゴイスティックなことを考えてしまいます。が、将棋は本当にこんなことが起こるから面白いです。