びゅーびゅーと波上を行く暴風は25m
雲をちぎり 波をちぎり やりの穂先となって飛んでいく
走る走る 波が波の上を走る 船を飲み込む 岩を飲み込む 水平線を飲み込む 何もかも飲みこむ
ぴゅーぴゅーと頬を叩く 痛いほど叩く 叩いても叩いても止まぬ
風が海から竜巻になって上る 西から東へビュービューと風が走る
凍えた風は波のようにうねりながら頭上を飛んでいく
飛んでいく風の上を 悠々とカモメが飛んでいく 見事なものだ
飛ぶというより 風に乗っている
今にも壊れそうなグライダーのように左右の翼を「カタカタ」と頼りなげに揺らし
それでも軽々と奴らは飛んでいく 急降下をしてみたり 大きな波の上を漂ったり
まったく自由な奴らだ 100も200も群れになって カラスもトンビも近寄れぬ独壇場だ
海が荒れれば荒れるほど 張り切るカモメたちだ