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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた (136) 長尾家 49

2024年07月11日 11時38分21秒 | 甲越軍記
 柿崎和泉守は家士に策を与えて、幕の後ろに隠して照田将監に使いを出し
「今夜軍議をいたしたく、ご足労願いたい、日頃の疲れを吹き飛ばすために軍議の後一献用意したので、そのつもりでお出かけいただきたい」
将監は柿崎が一物腹に持っているなど露知らず、出かけて来た
和泉守は監物を奥座に招き入れ、盃酒を出し良い酒、良い宴を催した
将監は性質疑い深い者であるから、和泉守は自分の刀を遠くに置いて安心させた
時と共に酒は体を巡り、すっかり監物は酔ってしまった
その時、用事があるかのように和泉守の小姓、橋本義弥が柿崎の背に回り、後ろから刀を蹴飛ばしてしまった体で「申し訳ありませぬ、失礼いたしました」とうやうやしく刀を和泉守の左に差し出した瞬間
和泉守は将監に飛びかかりむんずと取っ組み合う、将監もまた怪力なれば簡単には組み伏せられず上になり下になりの力勝負
されども酒が頭まで回った監物は力尽きるところ上になって首を掻かんとする
「いったい何ゆえの狼藉か」組み敷かれた監物は大声で「和泉守反逆じゃ、皆であえ、と言うと次の間に控えた監物の家臣は「すわ一大事」と腰刀を抜いて主を救いに来るところ、このような事態のためにあらかじめ隠した和泉守の手練れ、どっと出てきて監物の士を取り込めて、一人残らず討ち果たした
和泉守も監物の首を掻き切って、それを包んで軍を率いて照田監物の陣へ向かった。
和泉守の家臣が大音声で監物の家臣に向かい「京の天子様より照田一味を討って、越後の騒乱を鎮めよとの勅諚をうけ賜わった、よって柿崎和泉守、一味の一人照田監物を討ち取った」
そう言って監物の首級を高々と上げてみせた、監物の家臣らは声も無くただ茫然と見つめるだけであった。
和泉守の家臣は続けて、「今後我らは府内の屋形様に監物の首を奉し降参する、汝らはここで降参するならば、その命は助けるが、あくまで抵抗するならば一人残らず滅ぼす、直ちに去就をこの場にて決めるが良い」
いまや大将は首だけになり、その後ろには越後の猛将柿崎が控えている、みな恐れおののいてたちまち降参して下った。
柿崎和泉守はこうした兵を引き連れて府中に参り、屋形に監物の首を奉して降参した。
屋形はこおとのほか喜び、柿崎を許して帰参も許した
柿崎は屋形のご恩に報いるため、兵を返し頚城郡荒井村、猿毛、米村、町田、笠島へ勢を向けた。
また舎弟柿崎弥之助を大将にして家人、長崎主税、山田、山口、藤田に地下人を加え山東郡(三島郡)へ発向させて辺りを切り取った。


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