神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)


神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

空想歴史小説 貧乏太閤記14 守護殺害

2022年09月24日 18時09分27秒 | 貧乏太閤記
信長は長蛇の荷車から道三や女中衆、重臣までに豪壮な土産物を贈った
特に道三とその奥方、愛妾には特に厳選した珍しいものを贈ったので、さすがの道三も驚き、そして信長の気配りに感心した。
「婿殿、この道三感服した、今後はいかなる時でもこの舅を頼りにされるがよい、今川にも搦手から圧をかけて容易に尾張には攻め込ませぬ」
そう言ってから隣に来るように促し、信長の耳に小さな声で言った
「どうじゃ、儂が力になるから尾張一国を手に入れてみようではないか、いつまでも力が失せた本家などに従っていても良いことはないじゃて」
この両雄の会見は大成功に終わった、道三は信長の力を認め、信長は道三が背後を守ってくれる頼もしさを確認した。
そして道三の言葉を思い返した「尾張一国を手に入れて見ぬか」
守りに徹していた信長だったが道三の言葉で初めてこれからの道が見えてきた。

尾張国と三河国は今の愛知県であり当時は二つの国に分かれていた
尾張は織田家、三河は松平家が治めていた
尾張は主に今の名古屋周辺である、本来ここの統治者は守護(現代なら県知事)である斯波氏である

尾張は米の収穫が多い優良な土地だから、尾張八郡を上と下、それぞれ四郡に分けてそれぞれ岩倉と清州の織田家に任せている
織田信秀は、その清州織田家に三奉行の一人として仕えていた
信秀が死んで息子の信長がその地位になったが......評判が悪すぎる。
織田信秀の官位は弾正中忠だった、織田一族は尾張中に根を広げているから、あっちにもこっちにも織田家がある
そのため守護代の二人、上四郡の守護代は織田伊勢守、下四郡の守護代は織田大和守、織田信秀は織田弾正忠などと区別している
信長には叔父、兄弟がどっさりといる、戦国武将は一夫多妻が多いから(本妻以外は側室となるが)母違いの兄弟も多い
信長に最も近い実弟は織田信勝である、母は同じ土田御前、その信勝は利発で家臣たちには信長より人気がある、信長を排して信勝を弾正忠家を相続させようという動きがある
その一番手が守護代織田大和守信友である、信勝の家老である柴田勝家の尻を叩いて信長と戦わせようとしている
信友は今川の圧力に耐えかねて今川と和睦しようと考えているが、信長が強固にこれを拒んでいる、それも気に食わない
それで一度、信長に挑んだが信勝は信長に味方したために大和守は敗北して清州に閉じこもり、巻き返しを狙っていた

信長にも味方がいる、それは大和守信友に世話になっている守護の斯波義統である
管領職を畠山、細川と分け合った斯波氏は、遠江(とおとうみ)、越前、尾張などの守護大名でもあった、しかし今川や朝倉に守護の地位を奪われて今は尾張の守護代家に居候しているほど落ちぶれた、今川家と和睦などできるわけがない
守護が信長を推せば家臣たちも信長に付かざるを得ない
業を煮やした信友は家老の坂井大膳と謀る
「守護殿には死んでいただこう、そして信勝を立てれば信長につく者はどれだけもいまい
信勝ならわれらの手の内だ、思い通りに働かせることができる」
坂井は斯波義統の長子、義銀を鷹狩に誘い、留守の間に家来が義統を暗殺した
大事件である、現代で言えば県知事を副知事が殺害したに等しい
だが下剋上のこの時代には珍しいことではない、日本各地でこのようなことが繰り返されていた。

義銀が狩りから戻ってくる途中、家来が血相を変えて走り寄った「義銀さま、大変です! 守護様が大和守に殺害されました」
「なに! そうかそれで坂井は一足先に戻ったのか、準備してわしが戻ったところを襲うつもりだったか
急いで那古野の信長のもとに行くぞ、誰ぞ急いでこのことを信長に知らせよ、大和守が信長をも襲うかもしれぬ」




最新の画像もっと見る

コメントを投稿