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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた(183) 甲越 川中島血戦 10

2024年08月28日 09時12分39秒 | 甲越軍記
使い番のむかで衆12騎が先陣に 走り去るを見て、本陣の 武者たちはもちろん 使い番の輩も、 今や激しく戦の真っ最中に大将 命によって軍を 多少なりとも 引き上げさせるとは いかなることかと 皆 訝しがった。

 この時 越後の大将 長尾景虎は 旗本を率いて晴信の本陣へ 攻め込み 勝敗を一時に決しようとする 気配を、甲州方の飫富兵部少輔虎正が 気づいた
 そして馬上と歩兵1500人 赤備えにて、大将晴信の 旗本の右を厳重に固めた
これには、さしもの景虎も迂闊に 攻め寄せることならず、 にわかに 引き上げの貝を吹かせた
 景虎は馬周り わずか 45人と宇佐美定行を 伴って、 先備えに 乗り入れて 手軽く勢を切り上げさせた
 先手の大将長尾越前守政景、 大いに怒り 「勝ち戦だというのに にわかに 引き上げるとは どういうことか、今一揉みにて武田勢を 崩して見せ申そう」とはやるのを、 宇佐美駿河守 これを制し「 君の武威を持って この備えを破ることは 誠に簡単であろう されども後陣の敵 各備えを守りなれば 、今日の合戦は黄昏に 至れば 勝負を決すること かなうまい、しかるに今雨の模様を示し、折りからなれば早く兵をあげて 陣営を結び賜え」と 密かに謀りごとを 告げれば 長尾 越前守、ようやく怒りを解いて 軍勢を軽々と引き上げた
 そして殿軍となってしずしずと引ければ、武田勢は 大いに勇み引く敵を食い止めんとするところへ、むかで衆使い番12人 馬を飛ばして来たり
「大将の御下知、敵去るとも 決して追ってはならぬ、 少しでも命に背くものは 厳罰を与える この場にて 踏みとどまること」と下知を伝えた
 山本勘助もまた 先の軍に馳来たって止めれば 小山田 、栗原の諸勢も 命令を守り軍を引き上げる
 敵味方は もの別れとなり 誠に見事に見えたりける
 今日午の刻より、未の刻までの合戦に 武田方の討ち死に 231人、長尾方の討死263人なり。






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