アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

ヒューマン・ギルドでは3月12日に、東日本巨大地震に遭われた方々およびその地域の方々にお見舞いとご無事をお祈りするメールをお出しし(海岸沿いでない地域、電話やメールやご本人のブログ等により安全確認ができた人たちを除く)、可能なら「安否」や情報提供をお願いしたのですが、回答率が思わしくなく、心を痛めております。

それでも私は、スピリチュアル系の人たちや、もっともらしいことを語る専門家ぶった人たちの無責任な言動に影響されることなく、私たちでできることを1つひとつこなしていくしかないと思っています。


そんな時期に日本のトップ自らが余計なことをしてくれています。

YOMIURI onlineの「会議室外まで響きわたった東電しかる菅首相の声」では、次のことが報道されています。

「テレビで爆発が放映されているのに、官邸には1時間くらい連絡がなかった。一体、どうなっているんだ」

首相は、「(原発対応は)あなたたちしかいないでしょう。(原発からの)撤退などあり得ない。覚悟を決めてください。撤退したときは東電は100%潰れる」とまくし立てた。首相の叱責する声は、会議室の外まで響き渡った。

菅首相は15日早朝、東京・内幸町の東電本店に乗り込み、会議に急きょ出席。その場で同社の幹部や社員らに対し、福島第一原発事故への東電の対応について不満をぶつけた。

地震や原発事故対策で陣頭指揮に当たる首相の異例の東電早朝訪問と、激しい叱責に、政府内からも、「冷静な対応を国民に呼びかける首相が冷静になっていないのではないか」「現場が萎縮すれば逆効果だ」と疑問視する声が出ている。

(2011年3月15日10時21分  読売新聞)

同じくYOMIURI onlineの 「菅政権の政治主導演出へのこだわり、混乱を増幅」では、「首相が東電の技術者をことあるごとに官邸に呼びつけてどなるので、現場対応の邪魔になっている」と、政府関係者が嘆いているのだそうです。

「イラ菅」のあだ名がある菅総理は、官邸を留守にして3時間11分も東京電力に居座ったのです。これは官邸からすれば職場放棄、東電側からすれば業務妨害です。


こんな時期に必要なことはパーフォーマンスや自分の心配を人にぶつけることでなく、情報をしっかりとやり取りしながら、責任ある立場の人たちにしっかりと仕事をさせることです。


心配には、建設的な側面もあれば、非建設的(時に破壊的)な側面もあります。

私が監訳しているW.B.ウルフ著『どうすれば幸福になれるか』(一光社)の上巻に「心配という仕事」と「心配の目的」という項があります。

どうすれば幸福になれるか(上) (Adlerian Books)
W.Beran Wolfe,前田 啓子訳、岩井俊憲監訳
一光社

そこには、恐れをもとに夫や子どもたちを心配し続けるエリザベスのケースが載っています。

ウルフは「漠然とした根拠のない恐れ」にとらわれていることの目的を「世界の誰よりも大きな安全を手に入れなければならない。みんなは私がそれを手に入れる手助けをしてくれなくてはいけない」と、心配が自分の地位を保つのに有効な手段であることを指摘しています。

ウルフは、「心配の目的」の項を次の言葉で結んでいます(改行・下線 岩井)。

心配は一般に心のこもったやさしい気遣いを示す証拠と信じられているが、それを心理学的に分析し表現してみると、その本来の姿が明らかになる。

それは、自分の世界を重要でない付け足し程度に限定し、専制的な愛や支配的な心配をそんな世話を必要としていないし望んでもいない人たちに無理やり押しつけるためには、とても有効な手段である。同時に、心配している当人が、本当の考えでは聖人のような、きわめて思いやりのある人間になるような手段である。


一方、DIAMOND online の 「未曾有の東日本大震災による経済的損失の全貌 一橋大学大学院経済学研究科 佐藤主光教授 緊急インタビュー 」で佐藤教授は、

震災の甚大な被害をはじめ、公共交通の乱れや原発事故など、起きてしまったことに対して「戦犯探し」(責任論)は当面、棚上げして、今後の復旧・復興への対応を優先すべきだ。

とした上で

今回の震災は戦後最大の国家危機かもしれない。ただ、戦後があれば高度成長があったように、震災からの復興を次の成長、産業の振興に結びつけられるかがカギになるはずだ。

と結んでいます。


さて、心配なあなた、心配を建設的に使いますか、それとも非建設的な使い方をしますか?

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<お目休めコーナー> 早咲きの桜②

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