おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
私が講演の際、質疑応答の時間が足りなかったとき、「疑問をお持ちの方は是非、ヒューマン・ギルドにメールかお電話をください」と言うことがあります。
それに対してある方からこんな質問が出ました。
ただし、内容は個人が特定できないよう少々加工してあります。
《質問》
小学2年生の私の息子は、自分からピアノを習いたいと言ってピアノ教室に通い始め、それなりに楽しそうなのですが、家で練習をしたがらないので困っています。
レッスンに行くのを渋るのはまったくないのですが、家でピアノの練習をさせようとすると、喧嘩になることがあります。
わざわざピアノも買っているし、ピアノ教室の月謝も安くないので、あまりに練習を渋る時には「練習を全然する気がないなら、やめなさい」と言うのですが、絶対にやめたくないと言います。
音感がいいし器用だと息子の素養があることを評価するピアノの先生は、練習しないと上手にはなれないよ、と言ってくれるのですが、なかなか自主的には練習しません。
このような毎日なのですが、子どもを信頼して自主性に任せた方がよいのでしょうか?
練習するのなら習い事を続けさせてあげる、練習しないならやめなさい、と言うのでは取引となるでしょうか?
《岩井のあっさりとした回答》
ご相談のメールをありがとうございました。
端的な回答で失礼します。
私は、このように質問したくなりました。
あなたは、息子さんをピアニストにするとか、音楽大学に進学させたいとお望みですか?
それ以前に本人はどうでしょうか?
私は、小学2年生の息子さんが休まずピアノのレッスンに通っているだけでも上出来だと思っています。
子どもさんはピアノを習うだけでなく、ピアノ教室で居場所を確保し、その場での仲間との触れ合い、先生との人間関係など重要なことを学んでいるはずです。
大事なことはまず、ピアノのレッスンを通じてピアノの上達以外に何を学んでいるかです。
もしかしたら、家で練習をしたくないならば、その理由が何かあるかもしれません。
たとえば、練習の出来栄えについて家で勇気をくじかれるとか、あるいは先生が出す課題が高度過ぎるとか。
私は、まずはピアノのレッスンについて息子さんと話し合って、今後どうしたいか、を共に考え、そこで決まったことなら口出ししないことをお勧めします。
これが「信頼」の実践です。
信頼を実践するには、時に忍耐も必要だということも講演でお伝えしましたね。
息子さんは、ピアノの楽しみを自分で味わえたなら、練習がしたくてたまらなくなるはずです。
〇〇さんがご相談くださったことをとてもうれしく存じます。
◆ピアノのレッスンに関しては、私が共著者の一人である抜群にいい本をご紹介します。
『あなたの想いがとどく 愛のピアノレッスン』(江崎光世、バジル・クリッツァー、岩井俊憲、学研パブリッシング、1,300円+税)
<お目休めコーナー> 穂高のなごみ野の花(2)