おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
昨日(8月19日)は、13:00~19:00に26人の受講者を迎えて アドラー心理学ベーシック・コース の初日を行っていました。
講座中は何ともなかったのですが、講座が終わると、どっと疲労感が押し寄せてきました。
そんなタイミングでふと思い出した私の共著本『よい子のお母さんは聴き上手』(PHP文庫、絶版)の第5章「子育てを楽しみましょう」に書いた明治生まれの詩人、竹内てるよの詩を紹介します。
以下はその本からのコピペです。
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この詩は、結婚して男の子を産んだにもかかわらず、体が弱く嫁ぎ先から離縁を告げられ、子どもを置いて出なければならなくなった竹内てるよが、ある心境から我に返って書いた「頬」という詩です。
竹内てるよは、我が子を殺して自分も死のうと赤い紐を手に取って、赤ちゃんの首に巻こうとしたところ、赤ちゃんは、目の前にちらちらする赤い色がうれしかったのかニコッと笑ったのです。
「頬」 竹内 てるよ
生れて何も知らぬ 吾子の頬に
母よ 絶望の涙をおとすな
その頬は赤く小さく
今はただ一つのはたんきやうにすぎなくとも
いつ人類のための戦ひに
燃えて輝かないといふことがあらう
生れて何もしらぬ 吾子の頬に
母よ 悲しみの涙をおとすな
ねむりの中に
静かなるまつげのかげをおとして
今はただ 白絹のやうにやはらかくとも
いつ正義のためのたたかひに
決然とゆがまないといふことがあらう
ただ 自らのよわさといくじなさのために
生れて何も知らぬわが子の頬に
母よ 絶望の涙をおとすな
詩集『花よわれらは』 から
(注)「はたんきやう」と書かれた巴旦杏(はたんきょう)というのは、スモモの一品種トガリスモモのことです。
まさに命の尊厳の極みに直面して書いた詩のような印象が残ります。
おそらくあなたも子どもが泣き叫んだり、授乳中に乳首を噛まれたりしたときに、子どもの首を絞めるとまでは行かなくとも、思わず放り投げたいような瞬間があったかもしれません。
しかし、その一瞬に思い留まってふと我に返ったのは、命の尊厳への大きな気づきがもたらしてくれたものかもしれません。
だとすると、あなたは、小さな命の段階から子どもに限りない尊敬の念を抱いていたにほかなりません。
子どもの不適切な行動が気になったり、子どもを愛せないと思うようになったりしたときは、是非、命の誕生と慈しみの原点に立ち返ってみてください。
きっと尊敬の再確認ができるはずです。
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(注)竹内てるよさんの名が再びにわかに全国版の新聞紙面をにぎわしたのは、2002年9月29日、スイスのバーゼルで開かれた国際児童図書評議会創立50周年記念大会で、美智子皇后が「頬」を(ご自身の英訳で)スピーチの中に引用してからです。
<お目休めコーナー>8月の花(17)
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