見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

関西旅行10月編:あなたの知らない名画(京博)

2008-10-17 23:55:13 | 行ったもの(美術館・見仏)
 秘仏をめぐる関西旅行、その他の寄り道先。

■京都国立博物館・平常展示
http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html

 例によって、平常展示の絵画をお目当てに立ち寄る。中国絵画は、肖像、特に禅僧の頂相(ちんぞう)が並んでいて、ちょっと面白い特集。近世絵画は、初めて見る『舞妓図屏風』が逸品。サントリー美術館の『舞踊図』の類例だが、これは人物がほぼ等身大と大きい。六曲一双屏風に総勢12人の踊り手が描かれている。髪を結ったり垂らしたりと、ファッションは様々だが、全て女性なのかしら?

 長沢蘆雪『白梅図』は、白梅の立木が「全身を揺らして激しく踊る人」にも見える。「クラシックの応挙に対する、ロックの蘆雪」って、誰がこの解説書いているんだ? 絵巻では『華厳宗祖師絵伝・義湘絵』の、いつもの龍の図でない場面が開いているのがめずらしかった。旅寝の僧の夢枕に大きな赤鬼が現れるところが、リアルで怖い。

 この日、やけに混雑していたのが、中世水墨画の部屋。「あなたの知らない水墨画」と題したミニ特集展示が行われていた。いずれも「ごく最近、当館の寄託となった水墨画」であると解説に言う。通常、「あなたの知らない○○」といえば、昔のオークションカタログに収載されて以降、行方不明になっていた作品で、一般人は知らないけれど、専門家にはよく知られたものを指す。しかし、今回の展示品は「誰にとっても目新しい、きわめてウブな作品」ばかりなのだそうだ。

 元信印の水墨画の大作『四季花鳥図屏風』は、向かって左が冬の景で、雪の積もった竹林、肩を寄せ合うスズメやカモが寒々しい。右は梅の花開く早春の景で、楽しげに口を開くセキレイ(?)の姿から、寒さの緩みが伝わる。光信印『山水禽獣図屏風』ともども、滋賀県野洲市の旧家に伝来したものだそうだ。まだまだ地方の旧家からは、突如として、こうした名品が発掘される可能性があるらしい。嬉しいなあ。

 なお、平常展示館は、建替工事に伴い平成20年12月8日から休館を予定している。休館前最後の平常展示は11月6日から。このラインアップも、平常展示とは思えない気合いの入り方で、ひそかに楽しみにしている。必ず行くつもり。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする