見もの・読みもの日記

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頑張らないオジサン/内田樹氏インタビュー

2008-10-04 21:23:24 | 見たもの(Webサイト・TV)
○日経トレンディネット:「ストレスを感じさせない人」が評価につながる(内田樹氏インタビュー)

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20081001/1019308/

 『下流志向』(講談社、2007)『ひとりでは生きられないのも芸のうち』(文藝春秋、2008)など、最近お気に入りの著者のひとり、内田樹さんのインタビュー記事を、昨日、ネットの上で見つけた。「日経トレンディネット」が提供する「“前向き力”の作り方」というコンテンツである。「プレッシャーやストレスに押しつぶされそうになったとき、達人はどのように乗り越えていくのか 」をテーマとするインタビューシリーズの一編。むかしは、サラリーマン雑誌に付きモノのこの手の”啓発”記事を、鼻で笑っていたものだが、オトナ暮らしが長くなると、いろいろ身につまされるものがあって、興味深く読んだ。

 私は内田さんの考え方に同意するところが多い。というか、日頃、自分がぼんやり感じていることを、明確な言葉で代弁してもらったような気がする。たとえば、「労働というのは基本的には集団でやるものです。そこでは『コラボレーションする能力』、もっとはっきり言うと、『まわりの人のパフォーマンスを高める能力』が一番求められます。自分にいくら知識や技術や資格があっても、それが自分のためにしか役立たないのであれば、職場では評価を得ることはできません」という一節。知識や技術はあるのに評価されない、と不満を感じている人には、よく噛み締めてもらいたい。いい仕事をするには(=いいパートナーを得るには)「この人と仕事をしているとストレスを感じない人」という評価を得ておくことが大切、というのも非常に納得した。

 しかし、こんなまったりしたアドバイスで、”前向き力”は作れるんだろうか?(笑) このインタビューシリーズには、既に5人の”達人”が登場している。面白いのは、経済アナリストの森永卓郎氏も「仕事の完成度にこだわりすぎないこと」「生真面目はほどほどに」と語っており、映画監督の森達也氏も「つらいときは無理しない」と、オジサン3人は揃って脱力志向なのである。一方、「緊張感の中でさらに自分にプレッシャーをかける」「仕事も一生懸命、趣味も徹底的に」と語るのは、いずれも若い女性たち。同じテーマで行われたインタビューとは思えないほど、回答が対極的である。結果的に、頑張る女のコと頑張らないオジサンという構図が浮かび上がっていて興味深い。私はむろん後者に与したいと思うけど。
コメント
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