見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2013黄金週@関西:大原詣、上賀茂神社

2013-05-09 00:37:32 | 行ったもの(美術館・見仏)
関西旅行3日目(5/4)は、京都在住の友人を呼び出し、大原詣に付き合ってもらう。大原のバス停で1本前に乗ってきた友人と落ち合う。

寂光院(左京区大原草生町) 建礼門院800年御遠忌法要(2013年4月14日~5月12日)

 大原は久しぶりだ。最後に訪ねたのは、寂光院が火災に遭う以前の話である。寂光院の宝物殿(鳳智松殿)に展示されていた新聞を見たら、火災は平成12年(2000)5月9日の未明。桃山時代に建立された本堂は灰燼に帰し、鎌倉時代の地蔵菩薩立像と小地蔵尊像、建礼門院像、阿波内侍像も焼けてしまった。非常にショックだったことはよく記憶している。

 その後、関係者の努力によって、本堂は昔どおりに再建された。焼失前の本堂の写真と現在の本堂を見比べても区別がつかないほどだ。また本尊・地蔵菩薩像は、昔の黒光りする威容から一転して、彩色鮮やかな御姿でよみがえった。美術院の技量が確かなので、うわついた感じはない。建礼門院像、阿波内侍像は、江里康慧・佐代子夫妻(平安仏所)によって再建された。どこかで聞いたお名前だと思ったら、法住寺の後白河法皇像の模刻を制作された方であった。なんだか奇縁を感じるなあ。法住寺の後白河法皇像を大原に連れてきて、対面させてみたい。

 なお、焼損した旧本尊の地蔵菩薩立像は重要文化財指定を解除されることなく、収蔵庫に安置されている。このたび建礼門院800年御遠忌法要にちなみ、この収蔵庫を開扉して、旧本尊と建礼門院御持仏と伝える普賢延命菩薩像を公開している。そば屋みたいな紺のれんを笑ってくぐると、半ば炭化した巨大な旧本尊が正面にぬっと立っていて、一瞬たじろぐ。痛々しいが異様な迫力である。普賢菩薩像は、美しいが、一身三頭の白象に乗る奇怪な姿(儀軌どおりだけど)。



 建礼門院御陵。何にせよ、徳子ちゃんよかったね。



三千院(左京区大原来迎院町)

 大原に来るときは、必ず寂光院と三千院をセットで参拝しているので、やはり2000年より以前にしか来ていないのだろう。苔庭に寝転ぶわらべ地蔵や、円融蔵展示室に復元された往生極楽院(阿弥陀三尊がいらっしゃる建物)の天井画など、記憶にない見ものがいろいろあって、面白かった。

上賀茂神社(北区上賀茂本山)

 上賀茂神社のそばに美味しい鯖味噌煮の食堂があるというので、かなり遅い昼食をとるつもりで向かう。行ってみたら、もう営業が終わっていたので、上賀茂神社に参拝していくことにする。神馬「神山号」の注意書き「ニンジンはお皿であげてください」に和む。「神馬に話しかけないで下さい」も、話しかけたらどうなるのか、想像してしまう。



 上賀茂神社でも今季の「非公開文化財特別公開」が行われていた。ここは、座敷に上がってしばらく待っていると、神職さんが現れる。神社の由緒の説明を聴き、お祓いを受けて、本殿・権殿(ごんでん)を参拝することができる。ご祭神は本殿にいらっしゃるのだが、権殿は本殿と全く同様の設備が備えられていて、非常の際はいつでもご祭神を遷すことができるのだそうだ。なんという用意周到さ。それだけ畏れられた神様であるということか。本殿・権殿の前には、それぞれ一対の獅子・狛犬が鎮座しているのが、昔の絵画資料のとおりである。あるとき庭に灯した篝火(だったかな)によって社殿の壁に映った獅子・狛犬の影をなぞって描いたのが「影狛(かげこま)」と呼ばれる絵姿。面白い。

 このあとは神職さんでなく、学生さんの案内で、高倉殿(この小さな建物も重要文化財だった!)の特別企画展『賀茂競馬920年』展を見て、最後に渉渓園という庭園を見て、時間切れとなった。
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