見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

おかずか、つまみか/餃子バンザイ!(今柊二)

2016-07-26 20:36:25 | 読んだもの(書籍)
○今柊二『餃子バンザイ!』 本の雑誌社 2016.6

 もとから餃子は好きだったが、最近、特に餃子好きが高じている。本書は、たまたま神田の大きな本屋さんで見かけて、しばらく立ち読みして、いやこんなもの買ってどうするんだ、と棚に戻したのだが、1週間後に同じ本屋でやっぱり買ってしまった。著者の今柊二さんは、定食評論家を称して、このほかにも定食や立ちそばの本を書いているエッセイスト。本書には、著者の生活圏である東京・首都圏のお店を中心に、北海道から京都・大阪、ソウルの2店を含めて、60店あまりが紹介されている。

 口絵に少しカラー写真があるが、本文の写真は白黒。たぶん著者本人が撮っているらしく、微笑ましくも素人っぽい。お店の方に来歴やこだわりを聞くような食ルポではないので、とりあえず目のついたお店に入り、餃子単品か定食か、またはラーメンに餃子など、その日の気分で注文し、ばくばく食べる。スープが美味かったり、つけだれに工夫があったり、皮はパリッと薄めだったりもちもちだったり、そのくらいのバリエーションはあるが、基本、どのお店に行っても特に変わったことは起きない。いいのだ、美味い餃子の幸せって、たぶんそういうものなのだ。

 著者の育った家では、餃子は単体で食べるもので、ご飯のおかずにしなかったという。へええ中国人みたいだ。そのため、餃子をおかずにご飯が食べられるようになったのは40代になってからだそうだ。私は逆に餃子をおかずとして食べて育ったので、最近ようやくご飯抜きで、餃子をつまみにビールを飲むことを覚えた。食習慣というのは面白い。

 あと我が家では、餃子は母がおかずとして買ってくるものだったので、「外のお店に餃子を食べに行く」という行動には、なんとなくためらいがある。今の生活でも、いちばん気に入っているのは、近所のデパートの食品売り場に常備されている「大阪王将」の箱入り冷凍餃子で、自分で調理して食べている。本書の学芸大学・大阪王将店のルポを読みながら、そうそう薄めの皮が美味しいよね、と共感していた。しかし本書を読んでいると、世の中には美味しい餃子を食べさせてくれるお店がたくさんあるんだなあ。いろいろ行ってみたくなった。
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