付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ヘルズガルド戦史」 霜越かほる

2007-08-25 | 架空戦記・仮想戦史
 面白いんだけれど、話が途中で終わっていて続きが気になるのに刊行されないシリーズってあるじゃないですか。『E.G.コンバット』とか『蓬莱学園の冒険!』とか……そのあたりは別格としても、霜越かほるの『ヘルズガルド戦史』もその1つ。

 大地が汚染され、健康な子供が生まれにくくなっている世界。第一次世界大戦程度の技術レベルで亜人類との戦いが続いている世界で、秘密を隠した少女の立身出世話なんだけれど、帯の宣伝文句の「人類再生の大河アドベンチャー」としてより、「架空世界における戦車開発史」として読む方が面白いんじゃないかな。そんなにマニアックな描写ではないけれど、既存の技術を組み合わせて新しい兵器を開発し、その投入によって戦い方が変わり、それを有効に使うための運用手段もまた発展していく……って感じが表現されていて面白いね。装甲と火力は劣るけれど軽戦車でのヒットエンドランをしてみようとか。ちなみにイラストは寺田克也でした……。

【ヘルズガルド戦史】【霜越かほる】【戦車開発史】【亜人】
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「蒼穹の女神」 すずきあきら

2007-08-25 | 架空戦記・仮想戦史
 『蒼穹の女神』は架空世界の空戦物。『鋼鉄の少女たち』とか『ヘルズガルド戦史~双色の瞳』みたいに、架空の世界を1から作り上げ、そこでしか描けない物語を書くならともかく、これなら史実の第一次世界大戦を舞台にして、実は「女性ばかりの飛行中隊があった!」としても良かったんでないかな。いや、話がつまらないとは言わないよ。ただ、ストーリーの内容から、わざわざ架空世界にする必然性がこれっぱかしも見えなかったもので……。

「蒼穹の女神」★★★

【空戦】
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「さよなら、ぺとぺとさん」 木村航

2007-08-25 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 木村航の『さよなら、ぺとぺとさん』を読了。登場人物もあいかわらず多いけど、出番を心得てきたというか持ち場が固まった感じで、話の方は1本の長編としてカチッと収まるべき形に収まったという感じかな。
 いきなり2冊目で「さよなら」というと、実はさよならでもなんでも無いオチが多いのだけれど、ちゃんと「さよなら」してました。木村さんはこういうところでそつがないというか、ほのぼのしているけど(「現実にそういう存在がいたら、当然こういうことはあるだろう」という)シビアな現実も無視してないんだよね。そこが長所でもあり短所でもあり。こういう客観的なツッコミはスイーツに乗っかったミントの葉みたいなもので、それが甘さを引き立たせるんだという人もいれば、それが嫌いという人もいるんだろうね。

 刈谷の某情報百貨店にコンピュータ・サプライを買いに出かけました。嫁さんが雑誌コーナーを指さして「こういうの、読んでおかなくていいの?」といきなり言い出してびっくり。『巨乳ギャル…』とか『アダルトDVD…』とか……ああ、その下の「スーパーロボット大戦MX」の攻略記事ね。ま、いいです。
 その雑誌の対面の書籍コーナーにも『さよなら、ぺとぺとさん』が平積みになってました。そこはライトノベルの新刊はなんでも平積みにしてくれますが、ひときわ目立ちます。周りがキャラがごちゃごちゃの極彩色のイラストばかりなので、白がベースのシンプルな表紙がなおさら目を引きます。

【さよなら、ぺとぺとさん】【木村航】【ファミ通文庫】【妖怪】【差別】【ビジネス】
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「凶鳥~ヒトラー最終指令」 佐藤大輔

2007-08-25 | 戦記・戦史・軍事
<font size="3" color="red" style="line-height:160%;">-Huckebein! Huckebein! Huckebein!-
-Oh, but anyway, Toto, we're home. Home! And this is my room, and you're all here.-

 佐藤大輔の『凶鳥~ヒトラー最終指令』を読了。やっぱ読んでなかった。大戦末期に秘密任務で寒村に派遣されたドイツ軍部隊が動き回る死体と戦う話。ミリタリー・ホラーと思って買ったF・ポール・ウィルソンの『城塞~ザ・キープ』が実はナイトワールド・サイクルとかいうダーク・ファンタジーで、登場する兵士たちもキャンプの若者と同レベルでがっかりさせられたものだけど、その鬱憤をここで晴らした感じ。
 この話には、唐突に伝説の剣を携えて登場する超能力者などは存在せず、既知の科学では説明できない事態に立ち向かうのは滅びゆく第三帝国最後の精鋭部隊。なんというか、相手が米軍だろうが怪物だろうが、降下猟兵なら、武装親衛隊ならこうでなくちゃいかんだろ!……という話。エピローグの宇宙開発話も良いオチになっています。
 『最強部隊入門~兵力の運用徹底研究』も購入。こういう本はあまり買わないのだけれど、パッと開いたページにずらりと並んだスターリンのオルガンの写真を見たら、つい買ってしまった。

【凶鳥】【フッケバイン】【ヒトラー最終指令】【佐藤大輔】【UFO】【侵略】【ゾンビ】【ナチス】
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「時の娘」 ジョゼフィン・ティ

2007-08-25 | ミステリー・推理小説
 政敵によって、死後にむちゃくちゃ言われるといえば、日本より西洋。日本は平将門や木曽義仲と静御前、さらに源義経や西郷隆盛みたいに反乱軍の指導者でも神にしたりして祀りあげる傾向がありますよね。庶民は判官贔屓で権力者への鬱憤を晴らし、権力者は反逆者でも神と祀って手の内に取り込もうとする。
 いちばん不幸なのはリチャード三世かもしれません。なにせ彼の死後に覇権を握ったチューダー朝で、悪口を担当したのは(よりによって)劇作家シェークスピア。この天才によって、証拠も何もないのに、リチャード王は権力欲しさに前王の忘れ形見の双子の王子を殺した醜い男にされてしまったのですから……という話はジョゼフィン・ティの『時の娘』より。

 犯人追跡中にマンホールへ転落し、不本意な入院をすることになったグラント警部。人の顔から性格を推理し、犯人を見つけることを得意とする警部は、暇つぶしにさまざまな人物の肖像写真を差し入れしてもらい、あれやこれやと人物評価をすることに。
 そしてグラント警部は1枚の肖像画に目を止めた。
 その人は権力欲しさに幼い王子を暗殺して王座に就いたという英国史上悪名高きリチャード3世。しかし彼の顔はそのような地位目当ての殺人を犯すようには見えなかった。
 警部の職業的な判断が間違っているのか、それとも歴史上の評価が間違っているのか? 病院のベッドの上で彼の捜査が始まった……。

 そしたら『幽霊のいる英国史』(石原孝哉)をにもその話が出てきました。
 シェークスピアが元ネタにした『リチャード三世史』を書いたトマス・モアにかかわる一節。リチャードのことをくそみそに書いたトマス・モアですが、実は彼が双子の王子の片割れをかくまって育てていたのではないかという説。
 そういう意外な推測が出てくるのも面白さです。

【時の娘】【ジョゼフィン・ティ】【幽霊のいる英国史】【噂】【安楽椅子】
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「大黒屋光太夫」 山下恒夫

2007-08-25 | 時代・歴史・武侠小説
 知ってる人が組合の旅行でサンクトペテルスブルグまで行くと聞きましたので、「大黒屋光太夫の足跡をたどりますか?」と尋ねたら「そんな人は知らん」と言われてしまいました。本はいっぱい読んでいるのですが、井上靖もみなもと太郎も読んでいなかったようです。試しに職場で聞いても、鈴鹿出身の大黒屋光太夫を知っている人はいませんでした(って、鈴鹿なんてすぐ近所じゃないですか)。
 ……てなことがあった後で、本屋の新刊書棚で岩波新書の『大黒屋光太夫』を見つけてしまいました。タイムリー★ ただ、この本、時代背景を語るのにいきなり田沼意次を持ち出してきて「ワイロ政治家」と決めつけて丸投げしているので、個人的にはマイナス評価。

 田沼意次はドラマや小説ではワイロ政治家の典型みたいに描かれることが多い人(少ない例外は池波正太郎の『剣客商売』)ですが、現代の視点で見れば先見性のある重商主義者。ワイロがどうのというのも、彼の政敵であった松平定信の書いた『宇下人言』や、定信派である松浦静山の『甲子夜話』が具体的な記述もなく非難しているだけで、あとは流言飛語ばかり……という話は後藤一朗『田沼意次 その虚実』(清水新書)より。
 ま、本題は大黒屋光太夫なんで、田沼は本当にどうでもいいのですが、新しい資料を元に今までの細かな間違いを正すと言っている本なものですから気になってしまいました。一事が万事で。

「大黒屋光太夫」★★★
「田沼意次 その虚実」★★★★

【噂】
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月に代わってお仕置きよ(ミランダ警告の一種)

2007-08-25 | 雑談・覚え書き
MIRANDA ADMONTION

1. You have the right to remain silent.
2. Anything you say can and will be used against you in a court of law.
3. You have the right to talk to a lawyer and have him present with you while you are being questioned.
4. If you cannot afford to hire a lawyer, one will be appointed to represent you before any questioning, if you wish one.

 アメリカの警察ドラマなんかを視ていると、犯人(この段階では容疑者だね)を逮捕するときにときに「おまえには黙秘する権利がある」とか「おまえが喋った内容は裁判で不利な証拠となることがある」とかカードに書かれた容疑者の権利を読み上げている。これがいわゆるミランダ警告というもの。Ernesto Miranda事件の時に容疑者が自分の権利を知らなかったものとして自供書が証拠に採用できなくなり、裁判が1からやり直しになったものだから、以後こう呼ばれる警告がおこなわれるようになったとか。
 日本ではそもそも取調べに弁護士を立ち合わせることさえできないものだから、後になって「言った」「言わない」「書いた」「書かされた」と揉めることがちょくちょくあります。
 なんで、こんなことをわざわざ書くかというと、昔、ミランダ警告を知らなかったため判らないギャグがあったから。めもめも。ちなみに最近のアメリカでは実効性からいって権利擁護のためには、取調の模様を録画するのがベストではないかという説も出ているそうです。
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「ある中尉の戦死」 佐藤大輔

2007-08-25 | 架空戦記・仮想戦史
「汚い言葉を使うものではないぞ、少佐。魂まで汚れてしまう」

 某海軍大佐の言葉。
 インターネットの海を徘徊していると、ほんと痛感させられますね。

「ある中尉の戦死」★★★

【名言】【言葉】
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花札

2007-08-25 | 雑談・覚え書き
 花札の赤札に書かれている文字は「あ可よろし(あかよろし)」と「みよしの」。「あ可よろし」の意味ははっきりせず「赤がよろしい」という説と「あきらかによろしい」という説がある。(「あのよろし」などとは読まないので注意)
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「鏡の国のアリス」 ルイス・キャロル

2007-08-25 | 異世界転移・召喚
「必死で走っても現状維持さ。先へ進もうと思ったら、少なくともその倍で頑張らないといけないよ!」

-Now, here, you see, it takes all the running you can do, to keep in the same place. If you want to get somewhere else, you must run at least twice as fast as that!-(The Red Queen)

 数学者の暗喩というより、ビジネス実践における教訓じゃないかと思う今日この頃。

【鏡の国のアリス】【ルイス・キャロル】
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餅は餅屋

2007-08-25 | 雑談・覚え書き
「軍人は戦争のことだけ考えてりゃいいじゃないか。軍が政治や経済にまで口出すなんていうのはとんでもない話だ」
 軍人相手にそう言いきった白洲次郎。太平洋戦争の勃発前に「どうせ負け戦」とさっさと疎開して農業を始め、終戦後はサンフランシスコに全権団顧問として参加。

「私は生涯武人として生きる。政治家になる柄ではなく、また政治は大嫌いだ」
 陸軍大将武藤信義の言葉。関東軍司令官兼駐満全権大使兼関東州長官。赴任1年めの昭和8年に病没。

 本当に餅屋という商売があるのを知ったのは最近のこと。それまでは餅は米屋かスーパーマーケットで買うものと思いこんでいたのだ。まだ、そういう店があるんだね。

【名言】
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