付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「妖怪と歩く」 足立倫行

2010-06-24 | 伝記・ノンフィクション
「とにかく、人の何倍も幸せになりたいと思っているから、うしろを振り返るより前進あるのみなんです」
 戦争のこと、片腕となったことを訊ねられても感情的な答えが返ることはまずない。

 『ゲゲゲの鬼太郎』などの怪奇まんがでお馴染みの水木しげるは、自叙伝的作品も数多く出している。今さら他人があれこれ書くことなどないようだけれど、そこをあえて本人が語ってきたことを他人の目から見たらどうなるだろうかと追求した結果がこの1冊の本です。手塚治虫との確執、家族、腕を失ったときのこと、アシスタントだったつげ義春や池上遼一、あるいは同じ下宿で寝起きしていた講談師・田辺一鶴のこと、そして近年の妖怪ブームや水木しげるロードのこと……。
 著者が旅行に同伴したり他の人から聞いたりした水木しげる像が彼の作品のキャラクターで誰に似ているかというと、どうやらネズミ男のようです。精力的で、つかみどころがなく、興味の範囲が狭く、助平で金儲けに熱心、そのくせ文化人的なイベントに呼ばれれば喜々として出かけるようなところ。言葉だけ聞くといかにも困ったやつなんだけれど、放っておけない親しみやすさがあるのですね。

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