「神だとか、名誉だとか、そういったものは放っておけばいい。自分に良くしてくれる人に尽くすことにしよう」大切なのは、たっぷりの食事と温かい寝床と友達だ。
中央公論社版ヴァルデマールの新シリーズです。今回はヴァルデマールの使者でもお馴染み、“こそ泥スキッフ”の物語。学院史上初の盗賊あがりの＜使者＞が誕生するまでを、少年を主人公にした文学の王道みたいな展開で語ります。
しかし『オリバー・ツイスト』あたりと比較すると、泥棒というものがそんなに非道いものとして描かれていないところが今日的かな。ＲＰＧでシーフが重要なクラスとなって雰囲気が変わってきたのか知らないけれど、泥棒には泥棒の矜恃ってもんがあって、自分たちも社会の一部であると認識しているあたりが面白いですね。
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