「勇気を出しなさい。勇気があれば、人生で乗り切れない問題なんてありません」思い詰めて選択肢を自ら狭めてしまい、人を殺したり死んだりするくらいなら、他にやれることは幾らでもあると、ちょっとイイ話風にまとめた一条さん（仮名）。
よく知られているように、ホームズやポワロや明智小五郎は実在の人物。もちろん怪人や怪盗も実在するし、必然的に名被害者も存在する。
ただ、名被害者が世に知られるケースは希だ。たいてい最初に遭遇した事件で殺されてしまうからなのだが、この一条さん（仮名）だけは違っていた……。
メフィスト連載の４編に書き下ろし１編を加えて１冊の物語にしたもの。
ミステリマニアで、羞恥心が欠如していて、生にも執着していないけれど無駄に死ぬのはイヤだなーという美少女が、犯人の用意する陳腐で凡庸なトリックを蹴り飛ばし、現代の科学捜査についてのイロハもしらない犯人を説教し、アニメやコミックを犯罪の温床にしようという陰謀を吹き飛ばして、消極的に世界平和の礎となる話。
やりたいけれど現実にはできない夢をかなえてくれるのがコミックやアニメや小説などのフィクションなので、「私は死んでも読みたくありません」といいつつ、その存在は否定しないという考え方こそ健全なのだと思いました。
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