『ドラキュラ紀元』で英国から逃れたドラキュラ伯爵だったが、ドイツ帝国に君臨し、世界大戦の引き金を引く。英仏連合軍の戦闘機乗りは果敢にドイツ軍戦闘機に挑むが、レッド・バロン率いる吸血鬼部隊との空中戦では劣勢を強いられている。そんな中、ディオゲネス・クラブはマランボワ城で何かが起きていると判断。ボウルガードは諜報員ウィンスロップを送り込むのだが……。
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切り裂きジャック事件に揺れる霧のロンドンから一転して、今回は第一次大戦の激戦が続くヨーロッパが舞台で、これも一種の仮想戦記。
ホラー要素に、架空戦史ものとしてのエッセンスと、ドラキュラ伯爵が支配するドイツ帝国の陰謀を暴く冒険スパイ小説の香りがミックスされてなかなかスリリング。いくらソッピース・キャメルの旋回性能が良いといっても、蝙蝠の羽根で空を駈けるリヒトホーフェン男爵と吸血鬼部隊には勝てんわなあ……。
そして、タペストリーのように無数の登場人物が虚実合わせて入り乱れる構成は健在。巻末の登場人物一覧を読んでいるだけで、大戦時の著名人やこのあたりの時代の作品に詳しくなれるような気がします。
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