「自分が作ったものを喜んで食べてくれる人がいるのは幸福だ」怪我でバレーボールを諦めなければいけなくなった女子高生、早坂凜は引きこもりになり、高校へも行かなくなった。
そんな凜が鈍った身体をなんとかしようと出かけたサイクリング・ロードで、元競輪選手の瀧口に出逢い……。
引きこもり女子高生がピストバイクと出逢い自転車競技の世界で活躍するようになるまでを描いた、挫折した人々の再生の物語。
昔はこういう少女が主役のレース小説をときどき読んでいたのだけれど、２冊続けて身近な人が事故で死んでしまい……というネタを使われて以来すっかり読む気を無くしていました。
今回、たまたま書店で手に取り、ぱらぱらと立ち読みして面白かったので購入。そのまま一気に読了。テンポ良く、どんどん話が進むのが快感でした。その分、魅力的（そう）な脇役個々に紙幅が費やされることもなく、そこはこのテンポと引き替えなのだと諦めつつも、残念。リサイクルショップの店長とか医学部志望の弟とか、掘り下げたら面白そうな人はいくらでも顔を出していますから。
たぶん、凜の両親がどう彼女の行為を理解しているのかいないのか、認めているのかいないのかなどと同じように、行間を読むなり想像で補うべきことなんでしょうね。
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