付け焼き刃の覚え書き

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「フォードの野望を砕いた軍産体制」 NHK取材班

2012-11-17 | 伝記・ノンフィクション
「法律で自動車が出来るなら、お目にかかりたいものだ」
 日本フォード支配人、ベンジャミン・コップの言葉。

 NHK製作のドキュメンタリーを書籍化したものの1冊。
 アメリカについでヨーロッパ・中南米の市場を制覇したフォードがアジア進出を目論み、日本を次のターゲットにしたはずだが……と調べていた調査班は、実際に横浜に工場が建設されていたことを知り、当時を知る人にインタビューしたり資料をあさりながら、フォードの進出と撤退の経緯をまとめあげる。

 ……で、こうして日本は「軍用自動車は国産で」という陸軍省の後押しで、強硬路線でフォード社のアジア進出を頓挫させたものの、「すぐに追いつくさ」と高をくくっていた自動車国産化政策が頓挫し、最終的にはそのまま太平洋戦争に突入したあげくフォードシステムによる大量生産に押し流されて敗戦……。
 敵の野望を砕いた気になって喜んでいるうちに、モータリゼーションのみならず産業の近代化そのものに乗り遅れた愚かさ。
 職工が通常の3倍近い高給とか社食でもステーキとかいう姿に何も感じなかったのかね。
 もちろん、ホーソン工場とかテイラー実験とか大学で学んだ身では、フォードシステムが完全とはいいませんけど、それにしたって生産力の差がどうしてそこまで広がったか考えるとうんざりします。

【フォードの野望を砕いた軍産体制】【日本の選択】【NHK取材班】【モダンタイムス】【自動車製造事業法】
コメント
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