付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「蘆屋家の崩壊」 津原泰水

2012-11-29 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 三十路を過ぎて定職につけずにいる猿渡と怪奇小説家の“伯爵”は、豆腐がなによりの大好物ということで意気投合。なにかと一緒に出かける機会も多いのだが、その行く先々で怪奇な事件に遭遇することも多く……。

 怪奇な事件や現象に遭遇すると伯爵の推理が冴え渡るのだけれど、残念ながら相手は怪異。推理が根底からひっくり返ったり手遅れになるのは茶飯事で、たいてい犠牲になるのは猿渡の方。
 あちこちで美味い料理を食べ、美女や昔の女と遭遇し、怪奇な事件に巻き込まれる悲喜劇の顛末という、夏場にテレビの2時間枠でやったら受けそうな組み合わせの短編集です。諸星大二郎の『妖怪ハンター』とか『栞と紙魚子』あたりが好きな人にはお薦め。
 深夜のトンネルから行き止まりの集落まで、お約束といえばお約束の連続。いちばん怖かったのはストーカーの話かな。

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コメント
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