付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「つきたま」 森田季節

2013-02-03 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
『見ていない だから僕には わからない』
 お気楽公務員川柳。

 「つきたま」は、ある日突然あらわれた半透明でぷにぷにしていて、見える人には見えるけれど見られない人にはまったく目に映らなくて、触れない人には何もさわれない謎の存在。気になるけれど、害になるわけでもなく、何の役にも立たないと思われる「つきたま」対策のため、各地の役所に窓口が設置された。
 鶴見満流は箕原市のつきたま対策事務所の職員。日々窓口で訪れる市民の相談に乗ったり、増えすぎたつきたまを集めて処理施設に捨ててくるのが仕事だが、駆除に出向いた廃校で自称魔法少女と出会ってしまい……。

 地方公務員小説。熱血でもなければ、博愛主義でもなく、面倒ごとは避けたいと思っているけれど最低限の仕事は無駄なく済ませたいという微妙なさじ加減の主人公が、スライム処理に奔走しながら窓口に現れる困った市民や怒らせると怖い上司となんとかうまくやっていく話です。
 最初はあまりに痛くて自己中心的な魔法少女(自称)ややる気はないけどムダに明るい臨時任用職員にイラッとしながら読んでいたけれど、堅実なヴァンパイア(自称)さんが登場するあたりから一気に引き込まれ、結局そのままするすると読了したら面白かったです。怖い課長補佐もいいよね。こういう上司なら嬉しいな。

【つきたま】【※ぷにぷにしています】【森田季節】【osa】【ガガガ文庫】【地方公務員】【代償行為】【市民団体】【不法投棄】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする