三国屋は江戸一番の札差(米の仲介業)で両替商で金貸し。卯之吉はその大旦那である徳右衛門の孫だが、20人以上いる孫の中でも末っ子ともなれば、放蕩三昧の暮らしをする以外に道はない。
かわいい孫がこのままではいけないと徳右衛門が同心株を買い与えたので、武術の心得もない三国屋の若旦那がいきなり定町廻同心見習いになるのだが……。
筒井康隆の『富豪刑事』に始まり、『俺の空 刑事編』とか『薬師寺涼子の怪奇事件簿』の系譜に連なる金持ち探偵もの。
普通の捜査担当者が手の出せない事件を、金持ちならではの人脈と金に物を言わせた捜査で解決していく話です。『謎解きはディナーのあとで』とか『覆面作家は二人いる』あたりは、富豪であることが謎解きに直接結びつかないから、このラインからは外れるかな。
こういうのは、世間一般とのギャップが醍醐味なのだけれど、この話も大富豪の放蕩息子ならではの世間とのズレが楽しいですね。木っ端役人が老中や大名家の御曹司と気軽に声を掛け合う姿に周囲を唖然とさせたり、腕っ節も根性もからっきしなのに徳右衛門の傭った用心棒のお陰で武芸の達人と誤解されたり。
この「臆病でへなちょこ」と「粋で博識」が上手くバランスがとれ、町奉行所はおろか寺社奉行や町火消に任侠一家も含めて引っかき回していく話の愉しさ。
【大富豪同心】【八巻卯之吉 放蕩記】【幡大介】【無礼講】【蘭方医】【衆道】【太鼓持】
かわいい孫がこのままではいけないと徳右衛門が同心株を買い与えたので、武術の心得もない三国屋の若旦那がいきなり定町廻同心見習いになるのだが……。
筒井康隆の『富豪刑事』に始まり、『俺の空 刑事編』とか『薬師寺涼子の怪奇事件簿』の系譜に連なる金持ち探偵もの。
普通の捜査担当者が手の出せない事件を、金持ちならではの人脈と金に物を言わせた捜査で解決していく話です。『謎解きはディナーのあとで』とか『覆面作家は二人いる』あたりは、富豪であることが謎解きに直接結びつかないから、このラインからは外れるかな。
こういうのは、世間一般とのギャップが醍醐味なのだけれど、この話も大富豪の放蕩息子ならではの世間とのズレが楽しいですね。木っ端役人が老中や大名家の御曹司と気軽に声を掛け合う姿に周囲を唖然とさせたり、腕っ節も根性もからっきしなのに徳右衛門の傭った用心棒のお陰で武芸の達人と誤解されたり。
この「臆病でへなちょこ」と「粋で博識」が上手くバランスがとれ、町奉行所はおろか寺社奉行や町火消に任侠一家も含めて引っかき回していく話の愉しさ。
【大富豪同心】【八巻卯之吉 放蕩記】【幡大介】【無礼講】【蘭方医】【衆道】【太鼓持】