付け焼き刃の覚え書き

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「絶対城先輩の妖怪学講座」 峰守ひろかず

2013-05-30 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 田舎から出てきて愉しいキャンバスライフを楽しもうと思っていた湯ノ山礼音だが、原因不明の怪奇現象に悩んだあげく、生きる妖怪データベースともいうべき文学部4号館4階44番資料室の主に借りを作ってしまった。
 この怪しい青年、絶対城阿頼耶は妖怪学の専門家にして詐欺師で……。

 大学を舞台にした怪異現象解決+オカルト詐欺話で、妖怪の専門家がインチキな怪奇現象は許さないと真相解明しつつ詐術でちゃっかり小遣い稼ぎするのを、長身でスレンダーすぎる女子大生が手下としてこき使われる話。
 「阿頼耶」が辞書変換したのにびっくり。あやかしの専門家にして詐欺師というと貝木泥舟を連想しちゃうけれど、あそこまで陰気じゃない……かな。
 この作者の『ほうかご百物語』は魑魅魍魎が跋扈する高校でのなんとものんきでラブラブな、ゆるさと真剣さのバランス加減の絶妙さが好きだったのだけれど、こちらはその大学版でもうちょい重い。
 でも、本当と嘘、通説と作者の創作を上手いこと混ぜ、現実的論理的でありながらふいにファンタジーに走り、絶対城先輩は人が悪そうで人が良く、そして利用される後輩ユーレイは状況に流されているようで足元はしっかりしていて、安心して愉しめる妖怪譚。

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