付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「死神を食べた少女(下)」 七沢またり

2013-10-22 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「政治というのは取捨選択である」
 誰もが幸せになれる世界などない。

 兵の数でも練度でも王国軍に負ける要素はなかった。
 だが、強者の驕りが、内部の勢力争いが、長年の間に蓄積された腐敗が、反乱軍の工作を待つまでもなく軍を自壊させていく。
 しかし、死神と呼ばれるようになったシェラは、部下の騎兵部隊を率いて反乱軍に死をまき散らしていく。食べるものと殺す敵がいれば、彼女は幸せだった……。

 少女戦士を主人公にしたヒロイックファンタジーなのだけれど、これ、ホラー映画の文法だよね。
 魔法とかの理由付けもなく、ただひたすら強く、情け容赦なく死をばらまき、殺そうとしても死なないし、しかも増えるし……。

「“死神”は、約束を守る」

 エピローグまで含めて英雄神話の構成でありながら、徹頭徹尾「ホラー」でした。周囲では権謀術数が繰り広げられているのに、そんなことおかまいなしで、山下清みたいに「おなかがすいた」とか「みんなとごはんを食べると愉しいね」みたいなことを言う一方で、「皆殺しだ-」という、フレディーやジェイソンやTシリーズみたいに殺しても死なないヒロインが直感と本能だけで暴れ回る英雄譚でした。

【死神を食べた少女(下)】【七沢またり】【チョモラン】【エンターブレイン】【騎兵】【死霊使い】【攻城戦】【死兵】【異端審問官】
コメント
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