付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ジェノサイド(上)」 高野和明

2014-03-27 | 破滅SF・侵略・新世界
『戦争の心理学は、権力者の心理学に置き換えることが可能だ』
 人がなぜ戦争をするかと言えば、人間社会の政治闘争を勝ち抜いた者が命じるからで、好戦的な資質こそが権力を手に入れるための第一条件なのだとアーサー・ルーベンスは考えるに至った。

 民間軍事会社の社員である男は、難病の息子の高額な医療費を工面するために、コンゴ奥地での極秘作戦に加わることになった。
 大学院生の青年は、父親の死後に届けられた不可解なメッセージから、ウィルス学者だった父の残した研究を引き継ぐことになった。
 生まれも育ちもまったく異なる男たちは、いつしか不可解な状況に追い込まれ、大きな陰謀に巻き込まれていることを感じながらもただ前に進むことしかできない……。

 仕事の打ち合わせで出かけた先で、「アメリカ人傭兵と日本人の研究者が、世界の別々の場所でそれぞれ人類の存亡が懸かった事件に巻き込まれていることが明らかになっていくのだけれど、ここで第3の主人公が現れて2つの流れが1つにまとまっていくという話でね、小松左京の長編とか好きならお薦めだよ!」と薦められて帰路に購入。
 情報量が圧倒的で、軍事サスペンスで、医療ミステリな冒険エンターテイメント作品。ちょっとSFっぽくなるけれど、がちがちのSFにはなっていないのは、この作品が山田風太郎賞を受賞して日本推理作家協会賞を受賞していてもSF関係の賞は取っていないことから感覚的にわかります。
 怒濤の勢いで後半へ……。

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コメント
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