付け焼き刃の覚え書き

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「新戦艦〈大和〉 発進編」 林譲治

2016-03-09 | 架空戦記・仮想戦史
『誰かか無駄死にしないために、誰かが無駄死にすることを強いられる。結果がすべてであり、結果をともなわない努力は、たとえ人死にが出ようと無駄である。それが戦場だ』

 大日本帝国が呉海軍工廠で極秘で建造を進めている新戦艦、秘匿名A-140は幾つもの新機軸が投入されていた。
 果たして、A-140は世界最大最強の戦艦となり得るのか。そして対米戦の開戦に間に合うのか……?

 最近は全然購入しなくなった架空戦記だったけれど、通りすがりの棚のイラストのタッチに惹かれて手に取りました。このタッチとか色使いとか、鈴木雅久っぽいよね……と思ったらご本人。こういう仕事もやるんだ。
 ストーリーとしては大和無双とか、スーパー戦艦大暴れというより、技術的に当然の要求を当たり前にまとめていくとこうなるのは必然だよねという感じ。紆余曲折こそあれ、さまざまな派閥の対立とか感情論による悪影響は最低限に抑えられています。十二試艦戦計画での「格闘性能も航続力も速力もみんな必要なのでなんとかしよう」というくだりは、「結論をまとめられないのは航空本部の責任放棄だ」と大騒ぎになって1人飛ばされちゃったり。
 それから、もう1つ強調されているのは作者が実際に聞き取りした、「技術的に論理的に導き出せる事項まで機密扱いするのは、管理が煩雑になるだけ無駄だ」ということで、敵は海軍それ自身。
 概ね史実通りに流れてはいますが、これからどうなるのでしょうか。

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