付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「プリント・ブレイン」 芝村裕吏

2016-03-20 | 超能力・超人・サイボーグ
「人生のヒントを教えてあげる。なりたい大人にはなれないものよ。たいていは自分が嫌いな大人になっていることに気づいて、ある日愕然とするの」
 桜木このかはそう楠正親に告げ、失敗に備えておくのも手だと語った。

 事故で植物状態になった正親は、瞬きひとつできないまま病院のベッドの上で何年も過ごし、気がつけば19歳。生きるのにも飽きた少年の心に、ある日接触してくるものがあった。医療実験として接続された自意識を持つ生命維持装置・全規模試作機(プリント・ブレイン)だ。
 正親によって「ぶんた」と名付けられたプリント・ブレインは、自分がロボットかアンドロイドなのかと訊かれると、「当方はほぼ人間である」と怒る。とはいえ実態は、布地に特殊印刷された人工知能。ぶんたは自分を作り出し、正親と接続したものを「敵」と呼び、自分と自分をコピーした同類を滅ぼすのに協力して欲しいと言い出した……。

 『ど根性ガエル』『カエアンの聖衣』『キルラキル』 に続く「服に着られる」物語の系譜で、かなりサイバーパンク。多少、『ピーナッツ』のライナスの毛布っぽいところはあります。
 なにかあるとすぐに「攻撃を受けている!」と騒ぎ出すぶんた。箱娘に続いてプリント・ブレイン。人の形をしていないヒロインをかわいく描くのが巧いなあと思いました。

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コメント
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