『聞こえないフリというものは、時として刀よりずっと強い』そんなことを蓮弥は最近学びつつある。
この世界は地球と同じようには作られなかった。
平たい土台の上に陸地が設置された平面の世界であって、世界は決して丸くはない。海の果てはどことも知れぬ場所へと海水が流れ落ちる瀑布であり、海底の夢の国の館では巨大な邪神カトゥルーが微睡んで夢を見ているという。
そういうわけで海は危険な世界であり、ちょっとした沿海でも小舟が乗り出せばカトゥルーの巨大な触手によって海底に引きずり込まれてしまうのだ。
しかし、それでは蓮弥が困るのだ。たまには魚が食べたいのだ。禁忌を犯して海に入ったところで、邪神を倒してしまえばいいんじゃないか？……
魔族エミルが暴走し、シオン王女が限界突破し、邪神の触手が食い散らかされ、そして謎の旅商人キリエの登場と、やりたい放題の11巻。魔王の軍勢に立ち向かうために集結した勇者たちが物足りなく思われても仕方がありません。
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