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スミスを召喚した魔法使いフランガは、ジョイリィ国の女戦士ジレルから謎の宝石スターストーンを奪うよう依頼したのだが……。
太陽系を舞台としたスペースオペラの古典、ノースウェスト・スミスを主人公とした短編集の3冊目にして最終刊。アウトローの主人公が怪しい美女と巡り会い、這々の体で命からがら逃げ延びるというのが基本パターンのシリーズです。「あ、またかい」と思わずに、異形の美女たちとの逢瀬を楽しむのが正しい読み方かもしれませんが、最終3冊目ともなると拾遺集。他の作家との合作やらなにやらの福袋状態です。
松本零士がイラストを担当したハヤカワの文庫はすべて手元にあるつもりが、書庫整理をしたら1冊だけ見当たらなかったのでネットで注文したら翌日到着。昔は古本屋を何軒何十軒とはしごしても見つからなかったり、意味不明なプレミアがついてたりしたものですが、そういう意味では便利な時代になりました。
処女戦士ジレルが登場する『スターストーンを求めて』でちらりとスミスが口ずさむのが「地球の緑の丘」という唄。この世界での流行歌という設定でちょくちょく登場していますが、このタイトルが気に入ったハインラインがインスパイアされて執筆したのが名作『地球の緑の丘』。この望郷の唄という設定が、真乃呼によるSFコミック『緑の世紀』にも登場していますし、日本のアニメなどにもちらほら現出。『宇宙戦艦ヤマト2199』にもBGMに「地球の緑の丘」というタイトルが使用されていますし、ジレルという民も登場していますね。
今の読者が読んで面白いと思うかどうかは別として、発表当時の読者にはしっかり原体験に刻み込まれた作品の1つではないかしらと思います。
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