付け焼き刃の覚え書き

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「人狼への転生、魔王の副官7」 漂月

2017-09-19 | 異世界転生
「陽輝教が今後も変わらず続いていくためには、変わり続けねばならないのです。川魚が同じ場所に留まるために、上流に向かって泳ぎ続けるように」
 そのためには神聖にして絶対不可侵の経典さえ道具に過ぎないと、トゥラーヤ枢機卿。

 ロルムンドは相変わらず、無数の「冷たいミーチャ」でできている。
 ドニエスクの乱が鎮圧されても、その鎮圧に功があったとされるボリシェヴィキ公シャリエの動きが怪しい。ドニエスク公を裏切った男は、エレオラとアシュレイ双方の派閥に声をかけ、影響力を増しながら、次の手を打とうとしているかのようだ。
 そして、新皇帝アシュレイの姉、ディリエ皇女は戴冠式の場で、自分とボリシェヴィキ公の婚約を発表した……。

 土地は荒れ果て、厳しい冬を待つ大地に広がって帝国を築き上げたロルムンドの人々は、誰も彼もが計画性が高く、理詰めで考え、自己犠牲精神にあふれているようにも思えます。そして、それゆえに一度火がついた内乱の連鎖は止まりません。言ってしまえば、誰も悪くないのに、みんな自分のことより他人のことしか考えていないのに、それでも戦い殺し合わねばならないという、とっても辛い帝国編……というより、「冷たいミーチャ」編も、ついに魔王の副官の活躍によって負の連鎖を断ち切られて完結。
 収録短編は、連載時から気になっていた逃亡した剣奴隷たちの姿を描いた「剣奴の勇者」。さらに『魔王の秘書』とのコラボ企画も収録。「人も魔物も一緒に暮らせる世界を作ろう」という魔王と、「頑張って世界から(自分以外の)人間を根絶やしにしましょう」という秘書の対面って、オフィシャルでやるのがスゴいです。
 あと、折り込みイラストにでっかく描かれている、胸のでっかい美女は誰じゃいな?と思ったら、クシュマー枢機卿ですか、そうですか。このお姉さん、こんなに存在感があっていいのでしょうか?

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コメント
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