付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「サモナーさんが行く Ⅰ〈上〉」 ロッド

2017-10-31 | VRMMO・ゲーム世界
 βテストを終え、本サービスを開始したVRゲーム『アナザーリンク・サーガ・オンライン』に召喚士としてエントリーしたキースだが、パーティを組もうという者が誰もいなくて途方に暮れていた。
 召喚士は序盤は弱くて足手まといになり、召喚できるモンスターが増えて強くなったら今度はモンスターの分まで経験値を持っていくのでパーティメンバーが不利益を被るという不人気職だったのだ。ゲーム開始時点でエントリーされた召喚士の総数は1名。
 仲間が見つからないなら仕方がないと、ギルドの紹介でNPC召喚士のオレニューに弟子入りすることになったキースだったが、これが後に「サモナーさん」と呼ばれるようになる、規格外魔法使いの第一歩だった……。

 卑怯は素敵、蹂躙は正義、強敵は経験値、来る者は迎撃、去る者は追撃、召喚獣の前に立つ召喚士……なサモナーさんの冒険譚。後続のサモナーが増えて来た後も、サモナーさんはオンリーワン。まるで名前を言ってはいけない“あの人”のような。とりあえず今回はレアな素材を回収しては、生産者プレイヤーに売りさばく生産系エピソードと修行話で、まだストーリーも主人公も普通です。ええ、普通。
 まずは、1ページの半分または1ページまるまる使ってステータス画面を再現し、そこに視認できる最小フォントで数行のデータをちょろちょろっと表記しているあたりに編集者の本気を見ました。この話、ウェブ連載の後半は毎回の連載分の半分以上が戦闘レポートのログがステータス一覧の表記で埋め尽くされる、文字通りの戦闘録(プレイレポート)。まだ項目がほとんどない冒頭からたっぷりスペースを確保して、あの膨大なログをきちんと載せるぞと宣言しているかのようです。他にも掲示板回はちゃんと横書き、フォント替えで画面を再現してますし、イラストもちゃんと老若男女から怪物までを描き分けて背景もきちんと描き込む手抜きなし。
 本気で作られている本は嬉しいなあ。
 書き下ろし短編は、ウェブ連載ではまったく語られなかった、イリーナとアデルのエントリーに際してのリアル事情。こういうお楽しみも良いですね。

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コメント
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