「うわー、きつねさん何処までも駄目人間だね！」「君の笑顔で毒を吐く性格は誰譲りなのか気になって来たよ」
「私は私だよっ！ これが私オリジナリティーなんだよ！」
なんとなく気味が悪いと誰からも嫌われ、虐められて生きてきた高校生・薙刀桔音(なぎなたきつね)は、初めてできた友達、誰からも愛されている少女・篠崎しおりを護って命を落とした。虐めに屈せず、親友を護って死ねたなら、むしろ本望。
ところが、死んだはずだが何故か彼は異世界にいた。何か超越した全知全能の存在が、気まぐれ半分の暇つぶしに遊んだ結果だ。
チート能力も武器も無いまま未知の世界に放り出されたきつねを救ったのは、しおりから贈られたきつねの面から生まれた妖精フィニア。きつねはフィニアと共に元の世界に帰る方法を探すことを決意する……。
表紙イラストのきつねくんがやけにさわやかじゃないか。
身一つで魔物の跋扈する森の奥に放り出され、満身創痍で逃避行するはめに陥った少年の成り上がり冒険譚。ウェブ版完結。読み始めたらいつも格上相手に挑み続けるというか、常に自分より強い敵に狙われ続けるきつねくんの逆転劇に、気がつけば一気にエンディングまで読了。「強敵」と書いて友と読む……とまではいっていないけれど、戦って倒した相手が仲間になるのは物語の王道。ただ、仲間になったといっても全然おとなしくなっていないので導火線に火の点いた爆弾を懐に抱え込んだようなスリルもあって先読みできないあたりも面白さです。
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