
ゼートゥーア大将は感傷を込めてつぶやく。しかし、祖国のために彼には手段を選ぶことはできない。
敵が「邪悪な帝国に正義が勝つ」というウソを信じたいなら信じさせてやろうではないか。
いくら精鋭揃いで精強な帝国であろうと、世界を相手に戦い続け、なおかつ勝ち続けることは難しい。
働けるだけ働いたデグレチャフ中佐指揮する魔導部隊も撤退指示が取り消されてしまう。中佐の部隊は少々目立つから、味方が撤退する間、前線で第203魔導大隊だけで暴れ回って時間を稼いでこいというのだ……。
戦えど戦えど猶わが戦い、楽にならざり。ぢっと手を見る。
軍が頑張っても頑張りすぎて政府も国民も世界を相手にして勝てると思い込んで止め時を見失ってからの物語。既に戦力は乾いた雑巾を絞ってひねり出すわけで、そこで最後まで便利に使われるのは社畜デグレチャフ中佐なのです。
「私は運命の女神に見放された男だからな。運に任せなければ、成功するんだよ、私は」
楽しいゼートゥーア大将の八つ当たりが始まる。
【幼女戦記12】【Mundus vult decipi, ergo decipiatur】【カルロ・ゼン】【篠月しのぶ】【エンターブレイン】【壊れた天秤】【講和の模索】【最良の敗北】