付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「スガリさんの感想文はいつだって斜め上」 平田駒

2020-10-17 | 本屋・図書館・愛書家
「無人の部屋に入るときは『おじゃマンボウ』と言えば大体許されるとおばあちゃんが言ってました」
 おばあちゃんが言ってたなら仕方がないなー。

 長野から転入してきたミステリアスな美少女、須賀田綴は生で食べるのが美味いと好物のスガリ(地蜂の幼虫)をお弁当に持ってきて以来、私立鶴羽学園では奇人と認識されている。呼び名もスガリだ。
 そんなスガリが読書感想部というサークルを立ち上げようと決めた。部員は自分だけ。顧問には直山先生にお願いしようと思う。直山先生は愛知県初の男性家庭科教諭。見た目は立派な体格をしているが、スポーツは苦手で趣味は手芸。手芸部が廃部になって、ちょうど暇そうなのだ……。

 夏目漱石「こゝろ」で、死の直前、「K」はなぜ開いた襖を閉めなかったのか? それが気になったスガリは文中の描写などから情報を集約し間取り図を描いてみたけれど、そこから読み取れる物語の恐ろしさ。
 誰もが普通に知っていて、教科書やら何やらで読んでいる有名な作品に違った角度からスポットを当てて、そこに隠されている別の物語、別の意味を見いだし、それが現実で起きている事件とシンクロする日常系ビブリオミステリです。
 舞台は名古屋。具体的には八事日赤の近くにある私立高校。覚王山の揚輝荘とか地元民には馴染みのある地名や名前が出てきてどっきりします。ちょうどぼくのいるところじゃないか。

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