付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「SFファンタジィゲームの世界」 安田均

2022-01-05 | 宇宙・スペースオペラ
 『指輪物語』や『ドラゴンクエスト』から始まる話のついでにもう1つ。
 『ドラゴンクエスト』とか『ロードス島戦記』がヒットするまで、ファンタジーって本当に児童文学のくくりでした。もしくは難解な幻想文学。
 1986年に刊行されたこの本は、「海外にはこんなに面白いゲームがあります。元になった原作はこういうものです。日本でも翻訳やオリジナルのものが少しずつ増えてきてます。面白いからプレイしたり読んだりしましょう」という主旨の啓蒙書というかガイドブック。ただ、「SFファンタジー」といいつつ、8割くらいがSF。満遍なく広く深く把握している第一線の人のセレクトですら、これです。

 80年代がどういう時代かというと、ジュブナイルからライトノベルと呼ばれ方が変わりつつあった小説群において、SF系が減ってファンタジー系作品が増え始める時期です。
 たとえば、「富士見ファンタジア文庫」の1988年1月創刊時ラインナップは未来戦記『灼熱の竜騎兵』、未来世界での詐欺師の物語『ペ天使たち』、女性ボーカリストが主役のアクション『爆裂お嬢 シンディー・スー』、異世界ファンタジー『風の大陸』『ジェラルディン・サーガ』、中華ファンタジー『不死朝伝奇ZEQU』の6作品なのでファンタジーの比率は5割。角川文庫がジュブナイル向けの青帯シリーズをスニーカー文庫として独立させる直前、1988年10月の刊行は恋愛小説『王子さまを探して』、未来戦記『ガルフォース』、学園ミステリ『聖エルザクルセイダーズIII』、伝奇小説『神々の血脈5』。異世界ファンタジーはゼロ。これが『ロードス島戦記』以前というやつですね。
 ここからファンタジーが増え始め、『スレイヤーズ』が登場し、あれやこれや研究書1冊分の顛末を経てピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リングス』で一回りすることになります。

 つまり、日本においてはドラクエとロードスがスゴいんや。

【SFファンタジィゲームの世界】【安田均】【士郎正宗】【青心社】
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