「すべての海兵隊がライフルマンだ。世界のどこにいても－－いや、どの世界にいてもだ」対立しがちな国王派と貴族派の融和の象徴でもあったのに、突如として第二王子から婚約破棄を宣告され、絶体絶命の危機に陥った公爵家令嬢アリシア。その光景に、彼女の従者であるアベル・ナハト・エルディンガーは覚醒した。自分がアメリカ合衆国海兵隊武装偵察部隊は第五武装偵察中隊に所属する少佐カイル・デヴィッドソンであった前世を思い出したのだ。
彼は破滅寸前の彼女を連れてパーティー会場を堂々と戦略的脱出。アリシアの父であるアルスメラルダ公爵に１つの提案をした。このまま逃げ隠れして事態の沈静化を待つのではなく、アリシアを鍛え上げた上で反撃しようというのだ……。
草薙刃のオリジナル作品では３作目かな？ 前世覚醒と同時に海兵隊しか召喚できなくなった召喚術師の物語……ではなく、彼によって骨の髄まで叩き上げられ磨き抜かれた令嬢の海兵隊精神を語る１冊。
乙女ゲーム（というより60～70年代少女マンガ）のお約束としてヒロインを苛めて最後に糾弾される悪役令嬢に転生してから、その運命を回避する／切り抜けるというのがここ数年のウェブ小説のモチーフの１つ。早めに気づいてメインキャラと関わらないようにするとか、逆に仲良くしようとするとかいろいろ著者ごとの工夫が興味深いジャンルですが、ここ１～２年は理不尽な糾弾には正面から反撃するものが見かけられます。まさに「鉄と血だけが問題を解決する」というやつです。
背景となる国内外の情勢がはっきり／しっかりしているからこそ、そこで暴れ回る海兵令嬢の痛快さが際立ちます。
【鉄血の海兵令嬢】【草薙刃】【ヲさかな】【電撃の新文芸】【異世界よ、これが合衆国海兵隊だ。】【まりんこ！～立ち塞がる敵はすべて倒す！ 不屈の悪役令嬢は異世界を海兵隊と駆け抜ける～】【カクヨム】
