「この船では、奴等に勝てない」
挫傷した小型交易船でさえ、九鬼嘉隆率いる鉄甲軍船は苦戦してしまった。自在に動ける南蛮の軍艦相手ではどうなったかと思うと自慢の艦隊も色褪せて見える。
本能寺の変を生きのびた信長は着々と天下統一を進める。
それが何を意味するかと言えば、東洋の島国に先進的な指導者に率いられ、世界でも有数の経済力に支えられた世界最強の野戦能力を持つ軍隊が存在していたということだ。後世の歴史家はこの時代、テューダー王朝のイングランドと日本において「中世が終わった」と評し、その後のこの二国による世界の支配を争う様を興味深く追う事になる……。
佐藤大輔の新刊『信長伝』出ました! 何度も何度も復刊されては途中で終わり、それでも版元を変えてリブートがかかり、また中断の繰り返し。どれだけファンや編集者に愛されていたのか。どうして、これに応えられなかったの?
最初は1992年の大陸書房の天山ブックス版『逆転・信長軍記』。高荷義之のイラストがカッコ良くて、個人的にはこの作品のベストカバー。信長が生き延びて活躍する話は多いけど、最初の概況で「信長は生き延びて日本を統一すると世界に打って出て、スペインやイギリスと戦い、世界帝国を打ち立てた」とオチまで書いた上で、そこまでの過程を戦訓や後世への影響などを交えて書いた異色作。「歴史シミュレーション・ノベル」としてシミュレーションゲームのリプレイっぽく、ユニット配置や兵力について記述されているのも特色。これは1巻にて大陸沈没。
1993年にはKKベストセラーズのワニブックスから『覇王信長伝』が刊行。「佐藤大輔がまた信長ものを!」と思ったら、中身は『逆転・信長軍記』と一緒。ただし、こちらは3巻まで続きます。
その5年後の1998年、今度は『信長征海伝』として中央公論社のCノベルスに登場。ここで巻頭の「概況」が削除され、代わりに長めの「緒言」と「転換点」が挿入され、歴史を未来から再検討するという形式が強化されますが、これは2巻で打ち止め。
そのまま消えるかと思いきや、2004年に徳間文庫から『信長新記』としてリブート。1巻2巻は『信長征海伝』が底本と記載されていますが、3巻は征海伝は出てないので『覇王信長伝』が底本ということになってます。
そして2022年。ついに中央公論新社から3冊合本のハードカバーとして刊行。このあたりの変遷は巻末の刊記にて明記されてますが、内容的には誤植を直して「葉桜」を収録した以外の加筆はたった2文字[未完]のみ。
戦国日本が西欧勢力と戦うところまでいく話は、『本能寺から始める信長との天下統一』とか『銭の力で、戦国の世を駆け抜ける。』などちょこちょこあるのですが、物語としてはほとんど語られていないにも拘わらず、世界の歴史が動くダイナミックな展開ではこれがいちばんだと思ってます。
【信長伝】【佐藤大輔】【中央公論新社】【異貌の歴史長編(未完)】【逆転・信長軍記】【信長征海伝】【覇王信長伝】【信長新記】
挫傷した小型交易船でさえ、九鬼嘉隆率いる鉄甲軍船は苦戦してしまった。自在に動ける南蛮の軍艦相手ではどうなったかと思うと自慢の艦隊も色褪せて見える。
本能寺の変を生きのびた信長は着々と天下統一を進める。
それが何を意味するかと言えば、東洋の島国に先進的な指導者に率いられ、世界でも有数の経済力に支えられた世界最強の野戦能力を持つ軍隊が存在していたということだ。後世の歴史家はこの時代、テューダー王朝のイングランドと日本において「中世が終わった」と評し、その後のこの二国による世界の支配を争う様を興味深く追う事になる……。
佐藤大輔の新刊『信長伝』出ました! 何度も何度も復刊されては途中で終わり、それでも版元を変えてリブートがかかり、また中断の繰り返し。どれだけファンや編集者に愛されていたのか。どうして、これに応えられなかったの?
最初は1992年の大陸書房の天山ブックス版『逆転・信長軍記』。高荷義之のイラストがカッコ良くて、個人的にはこの作品のベストカバー。信長が生き延びて活躍する話は多いけど、最初の概況で「信長は生き延びて日本を統一すると世界に打って出て、スペインやイギリスと戦い、世界帝国を打ち立てた」とオチまで書いた上で、そこまでの過程を戦訓や後世への影響などを交えて書いた異色作。「歴史シミュレーション・ノベル」としてシミュレーションゲームのリプレイっぽく、ユニット配置や兵力について記述されているのも特色。これは1巻にて大陸沈没。
1993年にはKKベストセラーズのワニブックスから『覇王信長伝』が刊行。「佐藤大輔がまた信長ものを!」と思ったら、中身は『逆転・信長軍記』と一緒。ただし、こちらは3巻まで続きます。
その5年後の1998年、今度は『信長征海伝』として中央公論社のCノベルスに登場。ここで巻頭の「概況」が削除され、代わりに長めの「緒言」と「転換点」が挿入され、歴史を未来から再検討するという形式が強化されますが、これは2巻で打ち止め。
そのまま消えるかと思いきや、2004年に徳間文庫から『信長新記』としてリブート。1巻2巻は『信長征海伝』が底本と記載されていますが、3巻は征海伝は出てないので『覇王信長伝』が底本ということになってます。
そして2022年。ついに中央公論新社から3冊合本のハードカバーとして刊行。このあたりの変遷は巻末の刊記にて明記されてますが、内容的には誤植を直して「葉桜」を収録した以外の加筆はたった2文字[未完]のみ。
戦国日本が西欧勢力と戦うところまでいく話は、『本能寺から始める信長との天下統一』とか『銭の力で、戦国の世を駆け抜ける。』などちょこちょこあるのですが、物語としてはほとんど語られていないにも拘わらず、世界の歴史が動くダイナミックな展開ではこれがいちばんだと思ってます。
【信長伝】【佐藤大輔】【中央公論新社】【異貌の歴史長編(未完)】【逆転・信長軍記】【信長征海伝】【覇王信長伝】【信長新記】