「人はお世辞を言わなくてはならないさ。文明は、多少の偽善なしでは成りたたないものだ」
ギルバート・ブライスはそういう割り切り方のできる男だった。
34歳になったアンはアヴォンリーに久しぶりに帰郷し、マリラやリンド夫人、ダイアナらと旧交を温める。けれど、そんな懐かしさとは別に、彼女にとってのいるべき場所はグレン・セント・メアリの炉辺荘であり、夫ギルバートや三男三女のわが子がいるところであった……。
時代設定としては34歳から40歳の時点の話で、流れとしてはシリーズ6冊目だけれど執筆順としては最後。生前最後に刊行された巻ということで、ダイアナをはじめ、ポールにフィリッパ、レベッカ・デューなど懐かしいキャラも総登場。訳者によれば登場人物は名前だけ言及された者も含めると約370人だとか。
モンゴメリは「風柳荘(Windy Willows)」と決めて執筆したけれど、版元の判断で「風ポプラ荘(Windy Poplars)」に変更されたとか(まったく編集者って……)、サンタクロースは新教(長老教会派)では認めてないけど執筆が夫の牧師引退後だから書いたとか、当時の風俗や料理の解説からラテン語の原典解説まで、脚注と解説というよりもはや論文レベルのノートが110頁ほどついた松本侑子の新訳版。日本のラノベも何十年か後に翻訳なり再版されるときにはそんな解説(「これはトミノ監督の作品ではあるが本人はガンダムであるとは言及していない」とか)がつくこともあるかも。
【炉辺荘のアン】【赤毛のアン6】【L.M.モンゴメリ】【松本侑子】【文春文庫】
ギルバート・ブライスはそういう割り切り方のできる男だった。
34歳になったアンはアヴォンリーに久しぶりに帰郷し、マリラやリンド夫人、ダイアナらと旧交を温める。けれど、そんな懐かしさとは別に、彼女にとってのいるべき場所はグレン・セント・メアリの炉辺荘であり、夫ギルバートや三男三女のわが子がいるところであった……。
時代設定としては34歳から40歳の時点の話で、流れとしてはシリーズ6冊目だけれど執筆順としては最後。生前最後に刊行された巻ということで、ダイアナをはじめ、ポールにフィリッパ、レベッカ・デューなど懐かしいキャラも総登場。訳者によれば登場人物は名前だけ言及された者も含めると約370人だとか。
モンゴメリは「風柳荘(Windy Willows)」と決めて執筆したけれど、版元の判断で「風ポプラ荘(Windy Poplars)」に変更されたとか(まったく編集者って……)、サンタクロースは新教(長老教会派)では認めてないけど執筆が夫の牧師引退後だから書いたとか、当時の風俗や料理の解説からラテン語の原典解説まで、脚注と解説というよりもはや論文レベルのノートが110頁ほどついた松本侑子の新訳版。日本のラノベも何十年か後に翻訳なり再版されるときにはそんな解説(「これはトミノ監督の作品ではあるが本人はガンダムであるとは言及していない」とか)がつくこともあるかも。
【炉辺荘のアン】【赤毛のアン6】【L.M.モンゴメリ】【松本侑子】【文春文庫】