「こちとら平和ボケ日本人だぞ」自分に益がないどころか迷惑をかけられた相手だろうと、放っておいたら死ぬしかないと分かっていて見捨てる選択肢は深山夏雄にはない。たとえ甘っちょろいと言われようとも。
アルクス帝国の始まりは１つのダンジョンだった。怪物が跳梁跋扈する危険な世界においては、たとえモンスターの住処だろうとどこからどんなのが来るか分かっているだけ安全なのだ。そうして、ダンジョンを中心に都市ができ、攻め寄せる周辺国家を返り討ちにして拡大していったのだ。
そのダンジョンで世代を重ねて強くなっていったハイロウと自称する人々は、ダンジョンに入ることを原則禁止された今でもそこに強い憧れを抱いている。そして、始まりのダンジョンを生み出したオリジンと呼ばれる存在は、その後も何百何千というダンジョンを帝国内に生み出していき、ダンジョンは生まれては攻略されて亡び、また生まれを繰り返していた。
ホームセンター勤務の25歳、深山夏雄は気がつけばダンジョンの暗闇の中で目を覚ましていた。彼も新たに生み出されたダンジョンのマスターとして召還されたのだ……。
転生したらダンジョンのマスターに……という話は定期的にあるけれど、その目的が神やら上位存在の暇つぶしか自然の摂理かはたまた原因不明というものが多い中、ちゃんと個性的な存在意義があって話に奥行きを与えているのが、この『決戦世界のダンジョンマスター』。ダンジョンは強くならないといけないのだ。あり方としては『異世界からの企業進出!?』に近いかな。単なるダンジョン経営ものに終わらないのが良いね！
あと、コボルトさんたちとかエルフ侍とか脇を固めるキャラに親近感が持てるところも好き。コボルトは数だよ、アニキ。わきゃわきゃしてるのがかわいいのだ。
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