「インターネットで遠く離れていても、誰も知らなくても、気軽にコミュニケーション取れるわけですからね。いやぁ、本当に便利な世の中になりましたよね。ネットは良いものですね」さんざんネットでいわれなき誹謗中傷の的になっていながら、神坂怜にとってはたいした問題ではないらしい。それを苦にするのはフォロワーと家族だけだ。
神坂怜がまた厄介な相手に目をつけられた。あの蠱毒の壺ばりに配信者を競わせたあげく、パッとしないまま尻つぼみで終わった事務所所属の女性VTuber。狂犬とも呼ばれ、数字を出すためなら手段を選ばない犬神狂衣だ。
だが、ＳＮＳ経由で届いた狂衣からのＤＭが気になった神坂怜は、わざわざ返信し、チャットをやりとりし、直接通話をして３時間ほど話をした結果、なぜかものすごく懐かれてしまっていた。
ドッグトレーナーの誕生である……。
面白い配信以外なら（お菓子作りからバク宙まで）なんでもできるVTuberの日常。今回はマネージャーの交代があり、天羽、狂衣とのコラボ配信ありの大会主催ありといろいろあります。
配信者ものはすでにレッドオーシャン（競争激化市場）。その中でも、良い人だけれど人気はない配信者ものというのは珍しいですよね。たいていは最序盤で一気に人気に火がつきがちですけれど、登録者数が500増えて1000減ってとなかなか登録者数が増えません。そのくせ毎月のように本人に責のないところで炎上し、まとめで叩かれ、でも本人は馬耳東風で周囲ばかりがヤキモキすることになります。
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