『英雄になる、という意味がわかった。生命よりも脅威の方が大きく、絶望がより深くなることだ』
ハーピーの群れから集中攻撃を受けながら、ドオアは悟った。
トレント王の相談役であるビンクとカメレオンの息子のドオアはまだ12歳。両親が夜中にベッドの中で何をしているか気になる年頃だ。問題は、彼の魔法は生命無き者と会話ができるものだということだ。
そんなドオアの乳母は幽霊のミリー。もちろん今は生き返っているけれど、8世紀ほど前に殺されて長いこと幽霊をしていたのだ。そのミリーの恋人は800年のつきあいのジョナサンだが、彼は腐肉をしたたらせていて言葉もおぼつかないゾンビー。ドオアはなんとか2人を幸せにしてやりたいと、知恵を借りに魔法使いのハンフリーを訪ねるのだが、そのハンフリーが言うには800年前の第4次移住期時代の人物であるゾンビーの頭がソンビーを復活させる霊薬を持っているらしい。
かくしてドオアは魔法の絨毯で、ルーグナ城のタペストリーへと突入するのだが……。
誰もがオンリーワンの魔法を持って生まれる魔法の国ザンスを舞台にしたシリーズの3作目。最初の頃は「ザンスは奇数巻が面白い」とかいってましたが、20巻超えたら関係ない気がしてきました(既刊21巻。原書はもうすぐ50巻)。このシリーズには共通した主人公がいなくて……というか3巻以降、過去の巻で脇役で出てきた通りすがりが主役になったりするなど毎回のように主人公が変わります。
今回は1巻2巻の主役、ビンクの息子ドオアが主人公です。いずれは王になるものと周囲からみられているけれど、まだまだ幼く、経験の足りないドオアがタペストリーから800年前へ跳んで、憑依する形で野蛮人の青年に乗り移ります。相棒は大蜘蛛のジャンパー。身体は大人、心は子供のドオアと、ただの蜘蛛ながら常に落ち着いてドオアを支えるジャンパーが冒険を繰り広げ、ゴブリンとハーピーの戦いに巻き込まれたり、廃墟になる前のルーグナ城での防衛戦に関わったりします。友情ものというか、バディものの傑作ですね。
ただ、5巻を過ぎたあたりで「ダジャレ満載の不思議な世界の旅」と「旅路の果てのボーイ・ミーツ・ガール」が定番になってしまって、今回の主人公は誰で、誰とくっつくのかいなーという読み方になってしまいがち(毎回何十という英語のダジャレを日本語にする翻訳者の苦労やいかに?)。500ページを超える長編だとちとツラいかも。とりあえず、5巻までは機会があれば読んで損はないと思うし、それ以降も表紙イラストが気に入ったら手に取れば良いと思います。みんなほとんど独立した話なので。
【ルーグナ城の秘密~魔法の国ザンス3~】【ピアズ・アンソニイ】【村山潤一】【ハヤカワ文庫FT】【ボーイ・ミーツ・ガール×ダジャレ】【未来史】【ザンスの救済者】【タイムパラドックス】
ハーピーの群れから集中攻撃を受けながら、ドオアは悟った。
トレント王の相談役であるビンクとカメレオンの息子のドオアはまだ12歳。両親が夜中にベッドの中で何をしているか気になる年頃だ。問題は、彼の魔法は生命無き者と会話ができるものだということだ。
そんなドオアの乳母は幽霊のミリー。もちろん今は生き返っているけれど、8世紀ほど前に殺されて長いこと幽霊をしていたのだ。そのミリーの恋人は800年のつきあいのジョナサンだが、彼は腐肉をしたたらせていて言葉もおぼつかないゾンビー。ドオアはなんとか2人を幸せにしてやりたいと、知恵を借りに魔法使いのハンフリーを訪ねるのだが、そのハンフリーが言うには800年前の第4次移住期時代の人物であるゾンビーの頭がソンビーを復活させる霊薬を持っているらしい。
かくしてドオアは魔法の絨毯で、ルーグナ城のタペストリーへと突入するのだが……。
誰もがオンリーワンの魔法を持って生まれる魔法の国ザンスを舞台にしたシリーズの3作目。最初の頃は「ザンスは奇数巻が面白い」とかいってましたが、20巻超えたら関係ない気がしてきました(既刊21巻。原書はもうすぐ50巻)。このシリーズには共通した主人公がいなくて……というか3巻以降、過去の巻で脇役で出てきた通りすがりが主役になったりするなど毎回のように主人公が変わります。
今回は1巻2巻の主役、ビンクの息子ドオアが主人公です。いずれは王になるものと周囲からみられているけれど、まだまだ幼く、経験の足りないドオアがタペストリーから800年前へ跳んで、憑依する形で野蛮人の青年に乗り移ります。相棒は大蜘蛛のジャンパー。身体は大人、心は子供のドオアと、ただの蜘蛛ながら常に落ち着いてドオアを支えるジャンパーが冒険を繰り広げ、ゴブリンとハーピーの戦いに巻き込まれたり、廃墟になる前のルーグナ城での防衛戦に関わったりします。友情ものというか、バディものの傑作ですね。
ただ、5巻を過ぎたあたりで「ダジャレ満載の不思議な世界の旅」と「旅路の果てのボーイ・ミーツ・ガール」が定番になってしまって、今回の主人公は誰で、誰とくっつくのかいなーという読み方になってしまいがち(毎回何十という英語のダジャレを日本語にする翻訳者の苦労やいかに?)。500ページを超える長編だとちとツラいかも。とりあえず、5巻までは機会があれば読んで損はないと思うし、それ以降も表紙イラストが気に入ったら手に取れば良いと思います。みんなほとんど独立した話なので。
【ルーグナ城の秘密~魔法の国ザンス3~】【ピアズ・アンソニイ】【村山潤一】【ハヤカワ文庫FT】【ボーイ・ミーツ・ガール×ダジャレ】【未来史】【ザンスの救済者】【タイムパラドックス】
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