付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「異世界刀匠の魔剣製作ぐらし2」 荻原数馬

2023-10-23 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「馬鹿は常に予想の斜め上をいく! 常識という鎖でケダモノは飼い慣らせんのだ!」
 騎士ジョセルは刀匠ルッツに非常識な真似をするやつは何処にでもいると教えた。

 王国が蛮族と見下す隣国の連合国に大敗し、かなり不利な条件で講和することになったのだが、その際の贈り物交換に向こうが用意してくる巨大なピンクダイヤモンド『覇王の瞳』に匹敵する贈答品が用意できない。そもそも用意できるくらい財政に余裕があれば戦なんぞしていないのだが、相手方の使者が言うには第三王女リスティルを代わりに嫁に出すことにしても良いという。どちらも互いの国の宝なのだからと。
 とはいえ、王女は13歳。対してカサンドロス王は70歳で第五夫人に迎えるというのだが、かわいい王女をド変態王の全裸幼女抱き枕にするのは忍びないと王国側が雁首つき合わせて相談しているところに、ベオウルフ・エルデンバーガー侯爵が預かっていた「鬼哭刀」を差し出した。この国にはこんな凄い刀を打つ刀匠がいるのだ。この刀なら贈答品として文句はなかろうと。……。

「世界中の全ての女の子に、恋をする権利があります。身分とか使命とかそういうのは関係なしに、求める権利があるのです」
 商人クラウディアの言葉は王侯貴族にはありえない話だった。

 王女を差し出す代わりの刀を打つべく、刀鍛冶の馬鹿夫婦とロマンティストな変態と筋肉ジジイ、つまり刀鍛冶ルッツ(と妻クラウディア)、装飾師パトリック、付呪術師ゲルハルトが呼び出され、至高の一振りを生み出すべく挑む回です。あいかわらず、「尻穴のシワまで数える」とか「あの尻は俺の尻だ」「女神が目の前にいたら尻を差し出してもいい」「あの尻なら敷かれて本望」等々、誰も彼もが尻にこだわっているのは何でしょう?
 ところで、イラストの方もぐんぐん良くなっています。もともと巧い人ですし、胡散臭いオヤジから美女まで描き分け、いろんなシーンを構図を工夫しながら具象化してるんですけど、今回のポイントは3つ。
 そもそも前面に女性キャラが出てこず、ムサいおっさんたちが酒かっくらってるような表紙イラストの本は良い本。背後で人妻が豪快に酒かっくらっているのも良いアクセント。さすがクラウディアさんだ!
 次に無気力で無能と評されていたツァンダー伯爵の一癖ありげな顔。一見して頼りなげでありながら、どこか食わせ物っぽいキャラになってます。
 最後にでっぷり太った男とヒゲのおっさんが対峙するシーン。地味な絵面なのに、ここがクライマックスだからとセレクトするだけでなく、思いっきり見開きを使って描いてるんですよ。シビれます。全然3職人とは関係ないところでの話なのに、ここをちゃんと選んできっちり描ききってるってだけでスゴいですよ。トルメキアの第1・第2皇子とかウェネグ王子みたいなキャラは大好きです。

【異世界刀匠の魔剣製作ぐらし2】【荻原数馬】【カリマリカ】【カドカワBOOKS】【異世界刀匠魔剣製作記】【カクヨム】【尻】【男の子はこういうのに弱いんだろう?】【こんなこともあろうかと……】【王族の使命】【処刑人】
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「魔女と傭兵2」 超法規的か... | トップ | 「ギフト争奪戦に乗り遅れた... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー」カテゴリの最新記事