付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「異形の道化師~マロリオン物語(3)」 デイヴィッド・エディングス

2009-10-04 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「人を分類しようとするのは懸命な考えじゃないわね。ものの考え方が不明瞭になってきた最初の兆候よ」
 ガリオンに忠告するポルガラ。他人を型にはめて分かった気になるのは愚かなことです。血液型とかね。ポルガラおばさんの忠告はいつも的確。「定期的に親密な関係を持たない夫婦は、しばらくすると心が通わなくなるものよ」とか。

 マロリー皇帝ザカーズの虜となってしまったガリオンと仲間たちは、なんとかザンドラマスや各地で召喚されているらしい悪魔の脅威を説こうとするが皇帝は聴く耳持たず信じようともしない。そこでなんとか宮廷内に混乱を起こして気を逸らした隙に脱出しようと、シルク、サディ、リセルの3人が動き出せばたちまち貴族や軍や官僚の間の緊張は沸点に達してしまう。
 ところが、折悪しく致死率50%を超えるという疫病がマロリーの都マル・ゼスを襲ったため、ガリオンたちは一触即発の宮廷内に封じ込められることに……。

 手振りひとつで分厚い壁を消し飛ばしてしまうガリオンたちの破壊力も凄まじいものですが、毒薬とナイフと口先三寸で帝国を崩壊寸前に持っていく3人組も凄まじく。
 幾つもの偽名を使って世界各地で事業を展開する商人であり、国家産業が諜報というドラスニアの皇子にしてトップクラスのエージェントであり、詐欺師であり、いかさま師であり、道案内人のシルク(もうすぐ50歳というネズミ鼻の小男)。そのシルクを手玉にとる令嬢リセル(えくぼが魅力的な20歳そこそこの少女)。毒殺と買収が茶飯事の宮廷で頂点に立った宦官サディ。たぶん『マロリオン物語』でもっとも活躍しているのがこの3人ですね。ベルガリオンやベルガラスたちは予言に翻弄されがちですし、他のキャラもピンポイントでは活躍するけれど、シリーズ全体を通じて情報収集でも扇動でも暗殺でも白兵戦でもフルに活躍して笑いも取れるというのは、この3人だけです。
 「どうしてわたしなんだ?」もついに定番ギャグ化してしまったようです……。

【マロリオン物語】【デイヴィッド・エディングス】【異形の道化師】【疫病帝国】【カランダの魔神】【おおやちき】【HACCAN】【軍曹】【釣り】【お風呂】【悪魔】【兵站】

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「15×24~大人はわかっち... | トップ | 「お釈迦様もみてる/ウェッ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー」カテゴリの最新記事