付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「鉄のエルフ(1)~炎が鍛えた闇」 クリス・エヴァンズ

2009-05-17 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「リム・ロクナ・レ・リカ、ティ・ロクナ、セ・リカ、ジェブ・エシグ・ロ・ウェルタ・オクスル、キ・リカ・インジャ(汝は汝の、われはわれの戦を戦う。されど敵はひとつなれば、我らはひとつとなって戦う)

 カラル帝国の治世にかげりが生じ始めていた。
 女帝は強大な魔力を秘めるという<星>を手に入れるための部隊を派遣しようと考えるが、彼の地の軍を掌握する総督を信用できないことから新たに皇太子直属の軍を編成することとした。
 だが、実戦経験のない皇太子に代わって部隊を実質的に率いることとなる副隊長コノワは、1年前に当時の総督を殺害した咎で追放されていた男だった……。

 単純に言ってしまうと、無能な上司とその力の大きさどころか存在するかどうかも解らない敵<影の女王>に挟まれた主人公が、寄せ集めの兵隊をまとめあげて目的もはっきりしない遠征に送り出される話。マスケット銃と剣と魔法の戦争活劇ということで、もう少し「寄せ集めの兵隊をまとめ上げ、鍛え直す」シーンがあるとミリタリーものとして盛り上がるような気がしますが、主人公が理由の分からないままいろんなものを押しつけられて旅立つ話になっているので、この主人公がそんなに指揮官として有能なのか今ひとつ確信できません。完全に流されっぱなしで失策だらけです。

「栄光と死。栄光が先で、死があと。大事なのは、この順番だ。“栄光”と“死”のあいだを充分あけるようにすりゃ、栄光をたっぷり味わえる」
 ドワーフのイムトの言葉。

 主人公は軍人で、軍隊が話の中心になるけれど、まだミリタリー・ファンタジーとまではいえません。物語的には失敗して壊滅する遠征っぽい発端ですが、ラストに登場した老ジャーナリストのラリーが興味深いので、もう少し追ってみたいと思います。

【鉄のエルフ】【炎が鍛えた闇】【クリス・エヴァンズ】【ペンは剣より強し】

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