付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 08」 之貫紀

2023-11-08 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
「自分の研究領域でダメダメにならないやつは、研究者なんかにならないんじゃないの」
 農研機構の佐山の言動をダメダメと評する吉村に、芳村はそんなものだと言い切った。

 代々木ダンジョンの21層でオレンジが発見されたとの報に、農業・食品産業技術総合研究機構は研究員を現地調査に送り込むことにした。それに便乗したDFA(世界ダンジョン機構食品管理局)ネイサン博士一行と共に、佐山研究員を21層の湖畔に送り届けた芳村たちだったが、その前に未知の怪物が姿を現した。表記名は「森の王」、それ以上は鑑定不能であり、三好の鉄球攻撃で頭を吹き飛ばされてなお歩みを止めることはなかった……。

 もし現代にダンジョンが出現したら政治や文化・宗教までどんな影響があるのだろうかという点をしっかり物語に組み込んで語る、現代ダンジョン探索譚の8巻です。現代ダンジョンと社会の関係を主眼に、ワインの蘊蓄から先物取引、世界の貧困までいろいろ言及しているので、この手の話としてはダンジョンバトルは少なめ、というかほとんどないですね。今回は森の王との戦いがあるくらいです。バトルと主人公の成り上がりがメインテーマになりがちな現代ダンジョンものとしては異色作。
 ウェブ版と違って、農研の佐山さん大活躍。話としてはワインに最敬礼する三好さんのくだりを経由しながら、ミカンの顛末が一区切りするまで。「お任せください、サー!」と態度が一変する三好が読めるのは、この巻です。
 口絵イラストはあまりに夏らしく素晴らしすぎて、該当するページを探し回りました。でも刊行されたのは10月末で、作中の時系列は2月で、どこにも夏の要素がないのでした……。

【Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 08】【之貫紀】【ttl】【エンターブレイン】【現代ダンジョン攻略譚】【小説家になろう】【97のスクリーミング・イーグル】【農村振興局】【バレンタインデー】【森の王(レックス・ネモレンシス)】【金枝篇】

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「拾った奴隷たちが旅立って... | トップ | 「ゲーム世界転生〈ダン活〉0... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

異世界結合・ゲート・ゾーン」カテゴリの最新記事