「先代勇者は隠居したい（１）」 井々田Ｋ

　異世界に勇者として召喚された４人の少年少女たち。ところがその背後に呼ばれていない５人目がいた。たまたま近くにいたばかりに勇者候補の転移に巻き込まれた高校生、社勇（やしろ・ゆう）である。
　魔力すら持たないなら用はないと放り出された勇だったが、本人は大喜び。実はユウ・ヤシロこそ、３年前に魔王を封印した先代勇者本人だったのだ。
　今回は自分がやらなくていいのなら、今回こそ異世界ライフを満喫だ！と冒険者稼業に乗り出すのだが……。

　グラード荒野の戦いまで。
　一仕事終えた勇者の再登板の話というのはけっこう好きです。しょぼくれた爺さんが実はその道では名の通ったベテランで、要請に応えて現場復帰する……みたいなやつ。
　川口士の『ステレオタイプ・パワープレイ／この家に勇者様もしくは救世主さまはいらっしゃいませんか?!』がそのものの話だったりしますが、そうでなくてもみんなからたいしたことのない人間と思われていた人が実はすごい人だったというのは物語の王道。水戸黄門や遠山の金さんというよりも、まったく役に立たないと思われていた人が実はすごかったというとジョンストン・マッカレーの『快傑ゾロ』の方かな。
　こちらも魔物との戦いは今代勇者に任せて好き勝手に冒険したい……というところが、めざとい人はしっかり見つけていて利用されたり、たまたま巻き込まれたり。いきなり大会戦に乱入させられるはめになります。リリルリーはもう少し活躍しても良かったかな。
　手元に読む本がなくて、通りすがりの本屋で購入。これも少し追いかけてみます。きちんと完結してくれるといいな。

【先代勇者は隠居したい１】【井々田Ｋ】【霜月えいと】【タピオカ】【ＭＦブックス】【異世界召喚】【褐色の美女】【単騎な短気】【エルフ少女】【バジリスク】