付け焼き刃の覚え書き

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「江戸忍法帖」 山田風太郎

2009-04-17 | 時代・歴史・武侠小説

 水面下でひそかに動き出した5代将軍綱吉の世継争い。先代将軍家綱の御落胤の存在を知った将軍家御用人である柳沢吉保は、手飼いの甲賀七忍に葵悠太郎の暗殺を命じる。
 自らが将軍の御落胤であると知りつつも、権力欲もない悠太郎は江戸の長屋でのんびり暮らしていたが、3人の家来のみならず同じ長屋の角兵衛獅子の幼い少年までが殺されるに至り、遂に動き出した。将軍の地位など望まない。求めるはただ復讐のみ!

 時代劇の定番を集約した1冊。高貴な血筋の素浪人、怪しげな術を使う忍者、気の強い姫君や総領娘、角兵衛獅子の姉弟、水戸のご隠居に助さん角さんと……山田風太郎としてはかなり人物配置はオーソドックス。著者自身の評価は低くて初期選集からは外れているのだけれど、これだったらそのままテレビシリーズにしても大丈夫……というか、見たい。エログロ描写がないわけではないけれど、必殺仕事人がOKなら問題ない程度だし、絶対面白いよ。ヒロイン役は3人で、みんな個性が強いけれど良いキャラだし。
 あえて問題点を指摘するなら、悠太郎が動くのが遅いこと。仕事人で良い人がみんな死んでしまってから依頼が入るようなもので、あんたがのんびりしすぎたから、あいつもこいつもあの子も彼女もみんな死んでしまったんでない?
 そういう意味では問題主人公。まあ、忍法帖はどのみちみんな死んでしまう話ばかりなんですが……。

【江戸忍法帖】【山田風太郎】【世継ぎ騒動】【水戸光圀】【肉鎧】【すり替わり】

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