付け焼き刃の覚え書き

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「麻雀漫画50年史」 V林田

2024-06-27 | エッセー・人文・科学
 特定のジャンルに絞ったマンガ専門誌というのは面白いもので、ゴルフでも料理でも釣りでもエロでも、それさえやっていれば他のことはなんでもいいと許される事が多く、その代表がマージャン漫画です。それこそ麻雀牌が誌面に出ていれば、そこでオカルトやっていようが巨大ロボットバトルしていようが政治してようがフリーというのが面白いところです。
 ただ、そんななんでもかんでもありの玉石混淆の世界を総括した論はなかった。もしくはあるにはあったけれど、狭い範囲の観測で大局を語るような不十分なものしかなかったので、ここで阿佐田哲也の小説『麻雀放浪記』のヒットに象徴される麻雀ブームの発生の中から生まれた麻雀漫画の変遷について、単行本にならなかった作品まで含め、掲載誌の興亡までの50年分を語っています。
 時代ごとの代表作の紹介を軸に、漫画家・原作者・編集者へのインタビューや列伝なども含めた読み応えたっぷりの1冊。麻雀漫画が誕生したと思われる70年代前後の話から始まって各出版社の事情まで、「哭きの竜」から「咲」「ゲッターロボ牌」「一八先生」までフォローして図版付きで解説してます。「一八先生」では元ネタと比較したり、「牌」を「ゲッター線指数がかなり高い」と評したり、ツボを突いた語り口が魅力です。単にコミックを集めて飛ばし読みしたようなものではなく、当時の掲載誌から雑誌の傾向までしっかり網羅してます。
 こういうジャンルごとの通史はもっと読みたいなあ。料理マンガとか大変そうだけど。

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